NSJコラム
10月7日 11:30

太陽黒点説と景気循環

 太陽が「50年ぶりの静けさ」



太陽活動が静かな状態になっており、黒点がほとんど無い日が続いた。米航空宇宙局(NASA)は「約50年ぶりの静けさ」と発表。

9月29日付の日本経済新聞によると、太陽活動が平穏だと通信障害などが減る一方、気候が寒冷化するとの見方もあり研究者は推移を注視しているという。温暖化のみならず、寒冷化にも注意が必要らしい。

太陽の活動は景気にも大きな影響を与える。太陽黒点の少ない時期に物価が上昇し、名目金利が高くなる。逆に、黒点数が増えると物価が下落し、名目金利は低くなる傾向にある。限界革命の風雲児で19世紀のイギリスの経済学者、ウィリアムス・スタンレー・ジェヴォンズは「太陽黒点説」を唱えた。

「太陽エネルギーの周期的な変化が人間活動に影響を与え、景気循環を引き起こしていると確信。黒点の周期的な増減がまずは気象に大きく影響し、インドなど農業国の穀物生産量を変動させ、次に、それが英国など工業国の輸出に影響する、というロジックを打ち立てた」(9月30日付け三菱UFJ証券「債券投資デイリー」)。

太陽黒点は約11年周期で強弱を繰り返し、「シュワーベ・サイクル」と呼ばれる。シュワーベはドイツのアマチュア天文学者。11年ごとの太陽活動極大期にその磁場極性が反転するため、太陽は22年周期で変化する。これは「へール・サイクル」と呼ばれる。

景気循環の代表としては、約40カ月を周期とするキチン・サイクル(在庫投資循環)、約10年周期のジュグラー・サイクル(設備投資循環)、約20年周期のクズネッツ・サイクル(建設投資循環)、平均55年周期のコンドラチェフ・サイクル(長期波動)などがある。ちなみに、フランスの経済学者ジュグラーは景気循環論の基礎を築いた功績から「景気循環の父」と呼ばれる。

ここで注意したいのが、太陽黒点の周期と景気循環がほぼ対応していることである。キチン・サイクルは太陽黒点周期の3分の1に、シュワーベ・サイクルはジュグラー・サイクルに、へール・サイクルはクズネッツ・サイクルにそれぞれ符合する。太陽黒点周期の5倍の「吉村サイクル」はコンドラチェフ・サイクルに符合する。

 「50年ぶりの静けさ」からコンドラチェフ・サイクルを連想する人も多いに違いない。太陽黒点の研究で知られる三菱UFJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長の見解を伺いたいものだ。(F)

景気循環と太陽黒点周期の符合
キチン・サイクル
(在庫投資循環、約40カ月)
太陽黒点周期の3分の1
ジュグラー・サイクル
(設備投資循環、約10年)
シュワーベ・サイクル
(太陽黒点周期)
クズネッツ・サイクル
(建設投資循環、約20年)
ヘール・サイクル
(太陽黒点周期の2倍)
コンドラチェフ・サイクル
(長期波動、約55年)
吉村サイクル
(太陽黒点周期の5倍)

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