電通のビジネスモデル崩壊!?
目先はM&A活発化
広告業界最大手の電通(4324)に赤字転落という激震が走った。最終赤字は、連結では集計を開始した1978年以来初、単独決算では02年度の創業来の事態だ。
頼みのネット広告にも暗雲
11日発表した前3月期決算は、最終損益が204億円の赤字(前の期は362億円の黒字)に落ち込んだ。国内取引高シェアは22%超(2007年)、世界でも5位の規模で、テレビやスポーツイベントなど大型案件で他社を圧倒する同社でさえ、広告市場の低迷が直撃した。広告2位の博報堂、同4位の大広、同7位の読売広告社3社の持株会社である博報堂DYHD(2433)も前3月期の最終損益が32億円の赤字(前の期は100億円の黒字)に沈んだ。
電通、博報堂DYHDとも今3月期は黒字転換を見込んでいるが、既存メディアによる広告収入のビジネスモデル自体が崩壊しようとしている。電通が2月に発表した「2008年日本の広告費」で、08年の日本の総広告費は6兆6926億円(前年比4・7%減)で、03年以来5年ぶりの減少。世界的な不景気などが北京五輪などビッグイベントのプラス要因を打ち消した。
媒体別では、「新聞広告費」(同12・5%減の8276億円)が大幅減、「テレビ広告費」(同4・4%減の1兆9092億円)も減少した。新聞、雑誌、ラジオ、テレビの「マスコミ4媒体広告費」は同7・6%減と4年連続の前年割れ。
マスコミ4媒体の業種別広告費でも、「自動車・関連品」が同11・4%減と厳しい。日本の広告宣伝費上位には、トヨタ自動車、パナソニック(6752)、ホンダ(7267)など業績が急激に悪化した大企業が並ぶだけに、マスメディアや大手広告代理店にとっては先行き厳しい市場環境が続く。
日本証券新聞の取材に対し、ある大手自動車会社は「今期の広告宣伝費は当然落としていく。販売減と比例せざるを得ない」としている。また、トイレタリー首位・化粧品2位で、国内有数の大広告主である花王(4452)も「前3月期の広告宣伝費は数%程度の減、今期も同レベルもしくは微減で考えている」(花王広告担当)とし、生活必需品が多いことから景気影響を受けにくいとされる業界にも飛び火し始めているのが実情だ。
一方、今後の成長の期待分野となっているのがインターネット分野。インターネット広告費は総広告費の10・4%を占めるまで成長。07年に雑誌を上回ったが、09年にはついに新聞をも上回るとみられている。
この成長分野をM&A(企業合併・買収)の形で取り込み始めたのが電通の戦略。電通がTOB(株式公開買い付け)を実施しサイバー・コミュニケーションズ(CCI、4788・東マ)を完全子会社化するのが、その典型だ。このほか、ネット広告代理店ではオプト(2389・JQ)が最大手。サイバーエージェント(4751・東マ)が僅差の2位、セプテーニHD(4293・JQ)がそれに続く。オプトは08年に電通の傘下に入り、同社との協業も成長ドライバーとなっている。セプテーニはネット媒体の雄、ヤフー(4689)が出資する。オプトの広報担当者は「広告費よりも販売促進費が充てられるため、不景気の影響を受けにくい。また、費用対効果が上昇する可能性がある。さらにモバイルなどエンドユーザーが拡大中」と説明する。既存のテレビキー局も次々と赤字に転落している。旧来のマスメディア向けが落ち込んでいるので、デジタル方面に行かざるを得ないというのが大手広告代理店の本音。しかし、業界関係者によると「ヤフーの今年1月から3月の広告関連収入はショックなほど悪化している」といわれており、ネット広告でさえ果たして安穏としていられる事業環境ではなくなってきている。
ひとまず、M&Aの活発化が予想され、電通などの動きは活発化しそうだ。ネット関連の広告代理店は独自路線で生き残るかどうかの選択に迫られるだろう。いずれにせよ、現状は広告予算のパイの奪い合いであり、電通の既存のビジネスモデルが崩壊に向かっているのかもしれない。
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