財務相発言 金利上昇「非常に危惧」
6月下旬以来の高水準 選別対象なら損保大手
10日の日経平均は続伸したが、そのなかで見過ごされがちながら、このところ上昇傾向を強める長期金利の動向に市場の関心が高まっている。
10年物国債利回りは10日の朝方、1・485%(前日比0・015%高)と、6月下旬以来の高水準を記録。前場中ごろ、「非常に危惧(きぐ)している」との藤井裕久財務相発言が伝えられると、目先は上昇一服に転じたものの、先行きについては、依然として予断を許さない状況にある。
長期国債の「利回り上昇」は、国の借金である国債の「価格低下」を意味する。今後、借り換えも含めて新規の国債発行を行う際のコスト上昇要因となり、また、国債を大量に保有している金融機関などにとっては、含み損拡大につながる。そして、住宅ローンなど各種ローン金利の上昇要因となることで、金融当局の低金利政策効果を打ち消し、景気抑制に作用。また、金利高は円高に結び付くなど各種副作用が懸念されるところだ。
金利上昇(債券急落)のきっかけとなったのは、2日付の英高級紙「テレグラフ」報道。「日本の危機:政府が倒産法を申請する日が近い」とするもの。実際、日本の財政は危機的水準にある。2014年の一般政府債務残高(対GDP比)は218・6%(IMF試算)。これはG20(主要20カ国)の中でも、2位イタリア(128・5%)を引き離す突出した水準だ。
債券市場関係者の間では、「国家財政に敏感な外国人が激しく売っている。利回り的には、金あまりの国内金融機関が買いたい水準に達してきたが、政府がはっきりした展望を示さない限り、買いに動けないのが現状」といった声も聞かれる。
さて、株式市場にとっての影響は…。
不動産、電力、鉄鋼、電鉄、紙パルプといった借入金の多い業種には、利払いコスト高が直撃。また、相対的に配当利回りの魅力が低下するため、高利回り株にも逆風に働く。ダブルデメリットを受ける、東電(9501)以下7電力が年初来安値を付けたのも一種象徴的といえよう。
逆にメリット業種となると、代表格は損保。「長期金利上昇は、全体的にプラスの影響がある。損害保険に限らず、保険全般で逆ザヤ解消に結び付く。また、『損保固有の要因』として、長期火災保険契約は金利を勘案した係数が決まっていて、金利が上がると予定額に対して運用益が得られる」(東京海上日動火災保険関係者)とされる。大手損保は前週末、4社が増額修正発表し、9日に軒並み急騰となった経緯があるが、こうした背景もあったようだ。
東京海上HD(8766)をはじめとする損保大手の4―9月期決算発表は来週19日に集中するが、金利高メリットが意識されてくるようなら、一段の人気化も十分想定されてきそうだ。
一方で、任天堂(7974)や武田(4502)に代表される、一連のキャッシュリッチ企業も、受け取り利息増加などの恩恵が見込まれ、金利上昇局面では相対的に評価を高めることになりそうだ。(A)
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