NSJコラム
2月18日 8:30

株価10円未満はイエローカード(警告)
 新JASDAQ 制度要綱発表

  ペニーストック放置せず



ペニーストックとは投機的安物株。JASDAQ市場とヘラクレス市場の統合により誕生する新市場「JASDAQ」の制度要綱が16日に発表された。新しいJASDAQ市場は今年10月をめどに大証内に開設する。新市場は「信頼性」「革新性」「地域性・国際性」をコンセプトに掲げ、米ナスダック市場のようなオリジナリティーにあふれた世界のベンチマークとなる新興市場を目標とする。

新しいJASDAQ市場は「スタンダード」「グロース」に区分し、それぞれの市場特性も考慮して新規上場基準、上場廃止基準を設定する。とりわけ、投資家、既上場企業にとって影響が大きそうなのが上場廃止基準の改正だろう(表1参照)。中でも、(1)株価10円基準(2)浮動株時価総額基準(3)利益基準――という上場廃止基準の採用により、資本政策などの見直しに動く企業も出てくるとみられる。

具体的に「株価10円基準」とは、月末または月中平均株価のいずれか低い額が10円未満の場合、3カ月以内に10円以上にならないと上場廃止になる絶対株価基準。

表1 JASDAQ上場廃止基準
 スタンダードグロース備考
浮動
株式数
2期連続500単位未満
同左
・現行JASDAQおよびNEOは新設基準となるため、経過措置として2013年4月以後に開始する事業年度から適用
浮動株
時価総額
2期連続2億5000万円未満
同左
・現行JASDAQおよびNEOは新設基準となるため、上記と同様の経過措置をとる。それまでは現行の時価総額基準を適用
・現行ヘラクレス・グロースは現行基準からの引き上げとなるため、上記と同様の経過措置をとる
株主数
2期連続150人未満
同左
 
株価
月末または月中平均株価のいずれか低い額が10円未満となり、3カ月以内に10円以上とならない時
同左
・経過措置として2011年4月以後の売買から適用開始
利益など
4期連続して営業赤字および営業キャッシュフローがマイナスの場合、1年内に営業黒字または営業キャッシュフローがプラスとならないとき
同左、または上場後10年間に一度も黒字化しない場合
・経過措置として2011年4月以後に開始する事業年度を1年目として扱う
・JASAQ・グロースへの新規上場銘柄は営業利益・営業キャッシュフロー基準の適用を上場後5年間猶予
債務超過
2期連続
同左
 
※浮動株式数とは市場に流通している株式の数(役員、自己株式、10%以上保有者を除く株主が保有する株式数)をいう
表2 ペニーストック
10円株価基準で上場廃止が危ぶまれる主な銘柄
サハダイヤモンド9898・JQ)4円
オメガプロジェクト6819・JQ)5円
NESTAGE7633・JQ)2円
クロニクル9822・JQ)4円
アイビーダイワ3587・JQ)5円
RISE8836・JQ)5円
ECOM7954・JQ)11円
プラコー6347・JQ)12円
プリヴェ企業再生4233・JQ)13円
ジェイ・エスコム3779・JQ)17円
バーテックスリンク9816・JQ)18円
OAシステム7419・JQ)20円
表3 浮動株時価総額基準
抵触が危ぶまれる主な銘柄
石垣食品2901・JQ)1億8600万円
総和地所3239・JQ)2億300万円
ダイキサウンド3350・JQ)2億3700万円
五洋インテックス7519・JQ)2億4300万円
プラコー6347・JQ)2億4600万円
ジェイホーム2721・JQ)2億9200万円
グラウンドF8783・JQ)3億5000万円
ウィル3241・JQ)3億5300万円
モンテカルロ7569・JQ)3億5900万円
クリムゾン2776・JQ)3億8100万円
NESTAGE7633・JQ)4億500万円
トーヨーコーケン6352・JQ)4億4300万円
麻生フオーム1730・JQ)4億6500万円
光彩工芸7878・JQ)4億9500万円
モジュレ3043・HC)1億700万円
サムシング1408・HC)2億7700万円
ルーデン1400・HC)2億8100万円
SEED1739・HC)2億8200万円
地域新聞社2164・HC)3億6900万円
※株価、時価総額は10年2月16日終値ベース

「『1カイ2ヤリ』に代表される投機的マネーゲームを完全否定するわけではないが、新興市場の役割、資本市場の原点に立ち返ると、投機的売買対象は新興市場になじまない」(取引所関係者)。10円基準クリアに向けて株式併合といった“対抗策”を打ち出す企業が出てきてもおかしくはなが、10円基準はいわゆる“ペニーストック(投機的安物株)”を放置しないという取引所からのメッセージといえ、そうした対策が通用するか未知数だ。

また、浮動株時価総額を計算する上で前提となる浮動株とは、役員、自己株式、10%以上保有者を除く株主が保有する株式数。2期連続して浮動株ベースの時価総額が2億5000万円未満となった場合、上場廃止となる。

現行ヘラクレスのうちグロース企業にとっては基準引き上げ、現行JASDAQおよびNEOにはない基準。思わぬ企業が浮動株時価総額基準に抵触する可能性があり、注意が必要となってくる(表3参照)。参考までに、クリムゾン(2776・JQ)は2月16日終値ベースの時価総額は3億8100万円ながら、経営陣などの保有株を除いた浮動株ベースの時価総額は1億6400万円程度となる。

このほか、同基準に抵触する恐れのある地域新聞社(2164・HC)の広報担当は「ここ出来ない日も増えている。流動性向上も兼ねて、社長保有株放出などを含めて検討する。市場統合までに何らかの策を打ち出したい」。

五洋インテックス(7519・JQ)の広報担当は「目下、当社は現行の時価総額上場廃止基準にも抵触し、7月末までに3億円以上に回復させることが優先事項。世の中の情勢から浮動株時価総額基準の採用はかなり前から予想し、内容もほぼ想像通り。株価は業績に連動するため、まずは業績回復を目指す。ただ業績回復だけでは株価上昇に限界があり、上場維持に向けていろいろな手当てを検討する」としている。

このほかにも「ファイナンス、大株主の売り出しも含めて今後対応策を考えていかざるを得ない」とのコメントも聞かれた。むろん、いずれの上場廃止基準も経過措置がとられ、即座に適用というわけでない。

また、新市場では、「監理銘柄」「整理銘柄」に加えて、「監視銘柄」というポストを新設。監視区分の対象は、上場廃止猶予期間入り銘柄、特設注意市場銘柄、適時開示規則および企業行動規範に違反した銘柄など。ポストを設けて、問題のある企業であることを一目瞭然(りょうぜん)として投資家への注意喚起を促す。さらに問題企業には上場管理料を別途請求する制度も導入する。

一部企業にとって上場廃止の新基準クリアのハードルは高いようだが、ある上場企業役員は「低流動性ということだけで実態以下の株価に置かれており、長い目で見れば評価できる基準。当社はヘラクレス銘柄だが、JASDAQ銘柄になることへの抵抗感はなく、むしろメリットを感じている。市場自体に注目が集まれば当社も注目される確率が高まってくる」など前向きにとらえる声が優勢のようだ。(Q)


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