第一生命上場後のIPOマーケット
「紀文」も有力候補に浮上
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IPO(新規上場)市場に薄日が差し込んできている。4月1日上場の第一生命(8750)に続き、4月16日に防護服のアゼアス(3161・JQ)が新規上場することが明らかになった。これで2010年IPO承認社数は8社。1970年代後半以来のIPO低水準に泣いた昨年(1―4月IPOは7社)水準をひとまずクリアしてきた。
NTTドコモ以来、11年6カ月ぶりにオファリング総額1兆円を超える可能性(想定価格15万円ベースで1兆809億円)もある第一生命は目下、ブックビルディング期間中(3月9日―18日)。応募状況は「問題なく進んでいる」(市場関係者)とされ、順調にこなしているもよう。
さて、第一生命に続くIPO有力候補はどうか。野村証券主幹事で「大塚HD」「ポーラ」、大和証券主幹事で「ポッカ」、大和・三菱UFJ証券共同主幹事で「アヴァンストレート」、三菱UFJ主幹事で「シンバイオ製薬」が挙がっていることは既報済みだが、さらに紀文食品(東京都中央区)がIPO有力候補に急浮上。
紀文は水産練り製品を主体とした総合加工食品メーカー。連結売上高1045億円、資本金44億2580万円(前3月期末)という規模感。1970年代前半から海外拠点展開にも乗り出し、現在はタイ、米国、シンガポール、香港にも拠点を置く。主幹事証券としてみずほインベスターズ証券が務めるもよう。
このほか、マッサージチェア最大手のフジ医療器(大阪市)、介護事業のウィズネット(さいたま市)、渋谷109系からナチュラル系まで幅広い若者向けファッションアイテムのeコマースを手掛ける夢展望(大阪府池田市)などもIPO候補に挙がる。
創薬バイオベンチャーのうち、米アムジェン元副社長の吉田文紀氏が率い、抗がん剤開発を手掛けるシンバイオ製薬のIPOは“鉄板”とされる。一方、脳梗塞(こうそく)治療薬などを開発しているエムズサイエンスは、IPO条件とみられていた脳梗塞治療薬の第3相臨床試験に向けたエーザイとの提携交渉が不調に終わり、IPO時期は市場期待よりも遅れる可能性が出てきた。ただ、「交渉不調はエーザイの組織変更のあおり。第2相臨床試験結果は非常に良好で、薬効薬理に問題はない。複数社が“ポスト・エーザイ”候補に名乗りを上げている」(市場関係者)としており、タイミング待ちの状況に変わりはないようだ。
また、IPOを取り巻く環境は一時期に比べ改善してきている様子。「業績回復感などを背景に先行きを見通せるようになりつつあり、昨年12月あたりから出資依頼が増えてきた。業種では新エネルギー関連、IT関連の案件も徐々に増加」(証券系ベンチャーキャピタル)。また、「未上場企業を対象にした監査法人、印刷会社主催のIPOセミナーも参加人数が戻ってきている」(市場関係者)。
2月26日にみずほ証券、大証、ジャスダック証券取引所の3社共同で開催されたIPOセミナー「日本を元気にするセミナー」も130社を超える未上場企業が参加し大盛況。IPO関連業務に携わる複数の市場関係者から、IPOを取り巻く環境の底打ち感、潮の目の変化を感じ取る声が聞かれるようになってきた。
むろんベンチャー企業よりも、知名度や事業規模の大きい大企業の方が不況抵抗力があり業績面も安定、募集額が多ければ多いほど、IPO1件当たりの手数料額が膨らむこともあり、近年、証券会社サイドは経済情勢や市場環境を踏まえて、どちらかといえばIPO確度の高い大手・準大手企業、老舗企業の開拓を積極化してきた。
こうした事情もあり、2010年IPO社数は20―30社台(前年は19社)と件数は依然低水準にどまる可能性はあるものの、IPOマーケットは着実に復活に向かいつつあるようだ。
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