「コモンズ30ファンド」
厳選投資で好パフォーマンス実現
コモンズ投信 伊井哲朗代表取締役社長に聞く

超長期目線で現在、国内株式30銘柄に投資している「コモンズ30ファンド」。長期投資のベテランの経験を生かした独自のリサーチ力で銘柄を厳選、1年目から好パフォーマンスをたたき出している。コモンズ投信の代表取締役社長である伊井哲朗氏に、好成績の要因や近況について聞いた。
1年目の成績は
日本株ファンドトップ
――ファンドのパフォーマンスが良好だ。
「今年1月18日で設定からちょうど1周年を迎えたが、この段階では分配金込みで45.2%のプラスとなっており、ピンポイントでこの期間をとると、日本株のファンドでは1番(のパフォーマンス)だったと思う。同期間のTOPIXを30.7%、東証コア30銘柄を34.9%上回った。当ファンドの場合、短期的に決算の数字がいいものを当てにいっているわけではなく、長期的に企業価値を高めていける企業に投資。東アジアを中心に世界の成長を取り込めるような企業がポートフォリオのコアになっており、2009年はパフォーマンスが良かった」
「ただ、実は最近のパフォーマンスに限れば、TOPIXや東証コア30銘柄に対して劣後している。3月の頭に日銀が少し金融緩和姿勢を強めたりしたこともあって、4月にかけて全体的に株価がすごく上がっていたが、そこでは09年に上昇していなかった銘柄が水準訂正で買われていた。別の見方をすれば業界のトップではなく3番手、4番手といった銘柄が上昇していたのがこの期間のマーケット。しかし水準訂正が終われば、もしくは今下がっているマーケットが出直る時は、やはり本当に良い銘柄から買われることになると思うので、今後はまた良好な結果が出るのではないか」
日東電工、旭化成など追加し30銘柄に
――昨年8月に取材した時点では組み入れ銘柄数が23銘柄だったが、現在の組み入れ銘柄数は?
「09年10月からは30銘柄になっている。日東電工や旭化成、楽天などが新たに加わった。逆にトヨタは売却した。特に決まりを設けているわけではないが、これから30銘柄の前後1割(27―33銘柄)くらいは組み入れ銘柄数が変動する可能性があるだろう」
「株はやはり買った後が大変。20年以上の投資経験がある当社のメンバーで、企業価値を持続的に高め続けられるであろう企業をピックアップしたら、200社くらいだった。定量的なスクリーニングをかけたわけではない。自分たちの経験知の中で選んだものだ。それを2年半くらいかけて企業訪問したり、説明会に行ったりして地道に調査をした結果、70社くらいに絞れており、その中で30社に最終的に投資している状況。もちろんほったらかしにするわけにもいかず、われわれが立てている仮説を日々検証しながらメンテナンスを行っている。テクニカル指標で過熱感が出ているからといって売ることは全くないが、例えばどう考えても向こう10年間くらいの利益を株価が織り込んでいる場合には、売却することもあり得るだろう」
「今後、投資対象となり得るのは、例えばグローバルな視点で自分たちの事業のポートフォリオを見つめ直している企業。国内でトップシェアを持っているから、これで世界に打って出ようというプロセスではなく、世界でニーズがあるものについて、自分たちの強みをどう生かしていくかというアプローチをしている企業だ」
ユーロ問題はリーマンショックより影響薄
――業績が良くても、IR(投資家向け広報)に対する姿勢が良くない企業は投資対象から外すのか。
「IRの対応が良くないとすると、要因としては大きく2通りある。1つはIR自体が企業の中で重要なポジションにないケース。もう1つは企業の中の位置付けはしっかりしているのだが、実質的に1人しかおらず手が回らない場合。前者はわれわれではどうしようもないが、後者なら全般的には良くない対応を取っていても、われわれにはしっかり向き合ってくれる場合もある。前者のタイプだと、配当政策などの株主還元に表れていたり、ワンマン社長が仕切っていて株主に目が向いていなかったりして、結果的に投資対象にならないことはあるだろう。ただ、IRの対応だけで投資するか否かを決定することは当然のことながらない」
――最近のユーロ問題の影響についてはどう考えているか。
「ユーロの問題は根が深いので、簡単に解決できるものではないだろう。ただ、企業への影響はリーマン・ショックほど大きくはないのではないか。企業の方々と話していても、リーマン・ショックはやはり想像できない部分が多かったようだ。それまでBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)がとても好調で、企業がアクセルを踏んでいる最中だったので、反動が大きかった面もある。しかし、その後は企業も慎重になっており、(ユーロ問題が顕在化した今回も)まだ楽観視をしていない状況だったので、ショックは少ないと思う。リーマン・ショックを経験した学習効果もあって、ある程度対処できるだろう。
セミナーは投資家・企業双方から好評
――特長の1つになっている、企業と投資家をつなぐセミナーの評判はどうか。
「もちろん参加したお客さまからは好評を得ているが、それだけでなく企業側の評判も上々で、出たいと言ってくれている企業がまだ何社もある。現在のところは既に投資している30社の中からセミナーに出てもらっているが、今後はそれ以外の企業に登場してもらうこともあるかもしれない。企業側からはIR担当者やIR担当役員の方が出ており、中には経営者の方が出たいと言ってくれている企業もある」
「現在は世の中で株式営業がほとんどないので、投資家からすれば自分で調べるか、投資信託にお任せするしかない。ただ、投資信託の一番大きなリスクはどんな銘柄が入っているのか、どんな運用がなされているのかよく分からないこと。その点、当ファンドは投資先とセミナーを開催し、自分のお金が最終的にどういう会社に投資されているのか中身がかなり分かる。このセミナーに参加してからファンドへの投資をスタートするお客さまもいる。ファンドの中に何が入っているのか理解することは資産運用の点では非常に大切なこと。われわれは投資先、それから投資しているわれわれも含めて究極の『見える化』にチャレンジしているので、お客さまから見て何が入っているのか、どういう運用がなされているのか明確にできていると思う」
――これからファンドへの投資を検討している人々に伝えたいことは。
「BRICsの方が良いなどと言って、日本株ファンドへの投資が最初から選択肢に入っていない方が多い。しかし、当ファンドの09年のパフォーマンスを見てもお分かりのように、新興国で十分利益を出している日本企業に投資をすれば、それらの国の企業と同じようなパフォーマンスが期待できる。また、新興国企業ではなく日本企業に投資するメリットの1つには為替リスクの回避があげられる。もう1つは会社の情報がきちんと把握できること。例えば中国の建設機械メーカーがもうかっているとして、その企業の情報がきちんと入手できるかというと、個人の方は手に入りにくい。その点、日本企業のコマツなどならそのホームページを見たり、新聞やテレビのニュースを見たりすれば大体ほとんどの情報が手に入ることが利点だ」(U)
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