パナソニック・グループ株一斉高!
日立から、ちょうど1年のサプライズ
次の完全子会社化候補を探る
パナソニック(6752)による、三洋電機(6764)とパナソニック電工(6991)完全子会社化の話題が29日の東京市場を席巻した。三洋電が一時26%高まで買われ、パナソニック電工は大量買いにストップ高。連想が及ぶ格好で、パナソニック電工の子会社(パナソニック孫会社)のパナソニック電工IS(4283)やパナソニックグループで5割強保有するパナホームなども値を飛ばす一方、買い付け資金調達のための増資観測から、当のパナソニックは急落となっている。
発端となったのは、29日付日本経済新聞1面の観測報道だ。それも、「14版」以降の版から、他の記事との差し替えで掲載された様子だが、朝刊で「年内にも」としていたのが、同日夕刊では「近くTOB(株式公開買い付け)を実施」に転じた。
会社側では朝方から、「現在決定した事実はありませんが、決定次第すみやかに公表します」と、事実上の追認に近い、型通りのコメントを発表している。
思えば、昨年の日立によるグループ5社完全子会社化も、ほぼ1年前の7月27日に日本経済新聞が観測の第1報を行い、翌28日昼休み中に会社側が正式発表を行った経緯がある。
中には、「三井住友FGと大和証券の経営統合」のように、結果的に不発に終わるケースも見られるが、日経がこの手の観測報道を行う際は、ほどなく会社側発表となるケースが多いようだ。
もともと市場では、パナソニックによる、2社の完全子会社化自体は「既定路線」と見なされてきた。とはいえ、今春の決算説明会の際に、経営者側から、完全子会社化を先送りする趣旨の発言が聞かれ、期待感が沈静化した経緯がある。その辺について、「具体的にどのような発言があったかは把握していないが、(グループ会社間でシナジーを高める手段としてあるのは)『資本関係がすべてではない』ということはかねて説明してきた」(パナソニック広報担当者)とされる。
三洋電とパナソニック電工はともに、4月高値から7月安値まで3割強の急落を経ており、再編期待がはく落していた分、株価にインパクトを与えた格好。TOB(株式公開買い付け)プレミアムを「3割」と試算した観測報道を受けて買い物殺到となったわけだ。
かねて、親子上場禁止を盛り込んだ「公開会社法」の制定を掲げる民主党政権登場以来、東証の方針とも相まって、上場企業子会社の動向は折に触れて注目を集めてきた。「上場企業の子会社もまた上場企業」という、いわゆる“親子上場”は、上場子会社の少数株主に対する利益相反問題のほか、経営の意思決定の遅れ、企業価値のグループ外流出といった問題が指摘されている。そして、その解消手段となるのが完全子会社化だ。
2000年のソニー、03年の松下電器(現パナソニック)あたりを皮切りに、近年は幅広い業種で行われるようになり、昨年の日立、そして今回のパナソニックの例は市場にも大きなインパクトを呼び込んだ。
TOBや株式交換による、上場子会社の完全子会社化は今後も拡大をたどるのだろうか。
肯定派は、大和総研の土屋貴裕シニアストラテジスト。「『選択と集中』を進める経営戦略の一環として、重要部門を担う子会社を本体に取り込む一方で、シナジーの乏しい子会社をスピンアウトしたり、持ち株比率を落として、連結対象から持分法適用会社に変えるといった対応は、これからますます盛んになるはず」としている。
ただし、こうした流れには弊害もないわけではない。「親子上場解消で完全子会社化が進むと、非上場となる子会社社員のモチベーションが下がる可能性がある。また、株式市場の側から見ても、例えば、昔なら『携帯電話関連として松下通信(現在は、非上場のパナソニックモバイルコミュニケーションズ)を買う』ことができたが、投資の選択肢が狭まることは必ずしも歓迎できない。パナソニック系2社の完全子会社化は話題性は大きいが、あくまでも個別企業の問題。これを機にブーム化するようなことはないのではないか」(みずほ証券・瀬川剛エクイティストラテジスト)との声もある。
シティグループ証券の藤田勉日本株ストラテジストも、かねて「親子上場擁護論」を主張し、過去の完全子会社化に成功例が少ない経緯などを指摘している。
もっとも、事の善悪はともかくとして、過去10年の実績を踏まえれば、完全子会社化の流れは、少なくとも大企業の間では着実に浸透していることは確か。当然ながら、相場的には「次の候補」が求められてくることになりそう。表の通り、日本を代表する企業群は、まだかなりの上場子会社を抱えている。
ちなみに、先のシティグループ証券・藤田氏は以前、「親子上場廃止の議論」と題するレポートで、完全子会社化などの候補となる3銘柄を挙げていたが、そのうちの1つ、パナソニック電工は、今回結実することになりそう。となると、残りは、キヤノン子会社のキヤノンマーケティングジャパン(8060)と、こちらは、出資比率引き上げ候補として挙げた、東急電鉄系の東急不動産(8815)ということになるが…。(A)
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