主要10カ国の通貨・為替ハンドブック『世界の通貨』

コラム:中国 人民元

 中国人民元の対米ドル相場がこのところ急ピッチで上昇しています。2008年4月10日に、6元台に突入し、変動管理制に移行する直前の8.28元と比べて18%上昇。中国はインフレ対策として金融引き締めを強化していますが、それだけでは十分ではなく、中国人民元の上昇を積極的に利用しようとの機運が高まっており、中央銀行の中国人民銀行が人民元高を誘導していると考えられています。

 中国政府は2005年7月21日に、人民元の対米ドルを、それまで実質固定されていた1米ドル=8.28元から、8.11元と2.1%切り上げました。この切り上げとともに、従来より採用していた、人民元を米ドルに固定するという米ドル・ペッグ制度も、複数通貨から構成される通貨バスケットを参照にしながら、為替相場政策を行うという、通貨バスケットによる「管理変動相場」(管理フロート制)へと移行されました。通貨バスケットの構成については、米ドルとユーロと円と韓国ウォンの4通貨を中心としています。

 このときの人民元切り上げは切り上げ幅こそ2.1%と小さいものの、欧・米・日は、その後の人民元相場の上昇幅拡大に期待を持ちました。ところが切り上げ以降も、日々の相場上昇ペースは緩やかだったため、期待が裏切られたとして欧米からの更なる切り上げ圧力がかかってきました。急ピッチな上昇を容認すると輸出業者に対する打撃が大きく、混乱するとみて、中国人民銀行が介入などで上昇を抑えてきたのです。しかし現在では、インフレを抑制する手段として為替を弾力的に利用していく方針に転換したと推察されます。

 また現在、人民元の対米ドル為替相場の許容変動幅は基準相場の上下0.5%に設定された、きわめて狭い為替バンド制度を採用しています。

 今後、人民元の上昇余地は大きいものと考えられます。人民元高は、アジア通貨高につながり、円高に作用するとの見方もあります。いずれにせよ、人民元の相場動向が世界の通貨に与える影響は少なからずあると見たほうがよいでしょう。

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