酒田五法は風林火山 第17回 赤三兵は“斥候部隊”の出動、と知るべし(2016年03月07日)

電気式蚊取り「ベープマット」で知られるフマキラー(4998・2部)はその業態から分かるように、典型的なシーズンストックである。過去10年で見ても、5月に年間高値をとったのが2010年、6月が08年と15年、7月が07年、8月が09年と、5-8月に最もホットな相場を形成する。これは覚えておくといい。

15年には年初300円台の株価水準から6月高値804円まで、2倍強となる大相場を形成した。その過程を跡づけると、なかなか興味深いことが分かる。

まず、この大相場の背景を抑えておきたい。①1年前の14年8月、蚊が媒介する感染症「デング熱」の国内感染を70年ぶりに確認。②15年4月中旬、東京都が代々木公園で蚊の発生状況を調査。③5月半ばに駆除のため薬剤散布、④加えて対策啓発ポスターをJR原宿駅に掲示――といった流れがあり、市場の関心も徐々に高まっていた。

チャートは、15年4月2日以降の日足推移である。まず、4月10-14日、17-21日の、ともに休みを挟んだ3日間、小幅な陽線が3本並んで「赤三兵」。もちあい相場の果てに出現する3陽連は“斥候部隊”が活動を開始した証拠とみていい(その後、5月初めまで動きが途絶えたのは不甲斐ないが…)。

具体的な支援材料が出現したのが5月11日。この日、同社は15年3月期決算を発表。営業利益が2・2倍増と好調だったし、翌16年3月期も5%増と堅調見通し。発表後ジリ高に転じてようやく相場始動となるが、異変を象徴するのが5月15日の大陽線。ヒゲを持たない丸坊主。これは下ヒゲのない“寄り付き坊主”でもいいが、いずれにしても「寄り切り線」といって極めて珍重される線。言うまでもなく、買い転換の決定線である。案の定、翌日は上放れて始まっている。

ところで、5月21-25日に現れた「両抱き線」。抱き(つつみ)線は1本でも転機の象徴となるが、それが2本並んでいるのだから、なかなか意味深長だ。既に陽線が9本も並んでいるのだから、ここらで一息、との想定も成り立つが、結局は上昇加速となった。ここまでは買い方の勢いが優勢。

5月29日の「捨て子線」、6月1、2日の「空」などを経て、佳境入りを象徴するのが、8日に出現した「波高き線」だ。上ヒゲがあまり長いとひっくり返りかねない。危なっかしい足取りである。基本は伸力減衰の証拠。直後の3本「はらみ線」が微妙な形勢変化を物語る。

それでも最後の力を振り絞って買い方が仕掛けた成果が16日の800円乗せ。ザラバで大台替わりを果たしたものの、直後に下に大きく振らされて勢力転換は決定的。「十字星」のような形だが、実体は“首つり足”のようなもの。高なぐれの陰線2本が後に続いて売りの決定線となった。

さて、デング熱に続いてジカ熱など、感染症対策は急務。今年もそろそろ網を張っておくのがいいかもしれない。



[本紙3月8日付1面]

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