売買するときに気をつけること『株式投資の法律』

2. 相場の落とし穴「見せ玉」

板情報に突如現れた大口注文。これに追随して強気で株を買い増したとたん、あとかたもなく大口注文が消えてしまい……。そんな相場の“落とし穴”への規制はますます強化されています。
 相場操縦の一種である「見せ玉(ぎょく)」とは、約定する意図がないのに大量の注文を出したり、取り消したりすることをいいます。

 以前は、見せ玉行為自体は取引が成立していないとの理由から課徴金の適用外でしたが、ここ数年、悪質行為の横行が目立ったこともあり、規定を強化。2006年6月の「証券取引法の一部改正」に伴い、個人投資家ばかりでなく、証券会社の自己売買についても刑事罰を加えて、また、個人投資家と証券会社にも新たに課徴金が課せられることになりました。

突如消える大口注文

 見せ玉は、株取引の板情報(売り注文や買い注文の一覧が見られる画面)に成約を目的としないウソの売買注文を入れ、多くの一般投資家に"見せる"ことで、相場の強弱感を創り出す効果を狙ったもの。取引開始の前などにまとまった成り行き買い注文を入れれば、これに誘われて一般投資家の注文が喚起されやすくなります。

  ただし、“成約”が目的ではありませんから、取引が成立する直前にそうした注文は取り消されてしまい、結果、何も知らない一般投資家だけが取り残されることに。見せ玉を仕掛けた向きのある持ち株が有利な値段で成約されたあとは、大口注文が板情報から消え去り、一気に閑散商いに変貌――そんな現象は少なくありませんでした。

背景にはネット取引の隆盛も

  こうした見せ玉による相場操作がかなり頻繁に行われるようになったのは、インターネットを使った株取引の台頭と無関係ではありません。ネット・トレーダーのなかには、投資手法の一環として見せ玉を利用して売り抜け行為を頻繁に行うケースも多く、ネット・トレーダー人口の増加とあいまって、売買注文の価格や株数などの訂正注文や取り消し注文が急増。これが取引システム障害の一因となり、近年の金融庁による規制強化につながったといわれています。

 とはいえ、取引時間中に活発な売買が行われている場合には、見せ玉を完全に見極めることは困難。同一人物によるまとまった売買注文の内容など「手口」をひとつずつ割っていく(注文先を調べる)ことでしか、正確には把握できません。ただし、2004年11月、証券取引等監視委員会は真柄建設など複数銘柄に対して見せ玉を行ったとして、初めて個人(会社員)の告発に踏み切り、翌05年12月には懲役1年6カ月、執行猶予3年、罰金100万円の有罪判決が下された、というケースもあります。

板情報に現れる「見せ玉」の例

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