米国の経済指標で、為替相場の変動要因となる指標は数多くありますが、その中でも特に影響を与えるひとつが、米国雇用統計でしょう。
一般的に雇用は景気の遅行指標と言われています。
毎月1回発表される米国雇用統計の場合、為替や債券、株式などの市場関係者からの注目度もナンバーワンです。
その内容は非農業部門雇用者数、失業率、一人当たり単位労働時間などからなっています。その中でもっとも注目されるのが、非農業部門雇用者数です。
実際、同データが、市場予想を上回ったり、下回ったりすると、ドルが大きく上昇したり、下落したり、相場を動かす要因になっています。

では、なぜ米国雇用統計が注目されるのか?
ひとつは発表のスピードです。雇用統計が発表されるのは毎月第1金曜日で前月分の雇用統計が発表されます。経済指標の中で発表時期が一番早いのです。
さらに経済全体の動きを検証できるのは、雇用統計においてほかにないでしょう。
また雇用統計の労働時間が鉱工業生産指数の算出に利用されたり、労働投入量がGDP予想に利用されるなど、他の経済指標にも与える影響は大きいものがあります。
時には雇用統計の内容次第で、米国の利上げ、または利下げ観測が浮上する契機になったり、利上げ、または利下げ観測の後退につながったりすることもあります。
米国の金融政策などの実施、または見通しを変える材料にもなり得る存在といっていいでしょう。
ただし速報だけに、非農業部門雇用者数が、その後修正されることも珍しくありません。
たとえば、2007年8月の雇用統計では、雇用者数が4000人のマイナスと発表され、マーケットにサプライズを与えました。
マーケットは米利下げ観測を織り込み始め、米国長期金利が急低下、大きくドル安に振れました。
ところが9月雇用統計で、8月分があっさりと8万9000人のプラスに上方修正され、利下げ観測は一時後退しました。
速報性があるだけに、修正も頻繁にあるということも頭に入れておく必要があるでしょう。