3月7日(金)のマーケット
3月6日の米国株式市場は反落。ラトニック商務長官が、トランプ大統領は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した製品全てについて、カナダとメキシコへの関税を延期する可能性が高いと発言したため、下げ幅を縮めた場面があった。しかし、関税の経済に対する悪影響が警戒されているため買いは続かず、再び下向きとなった。テスラはドイツで2月の販売台数は1,429台と前年同月比76%減のだったことで売られた。マスクCEOが、ドイツの2月の総選挙で「ドイツのための選択肢(AfD)」を含む欧州の極右政党を支持していることが販売への打撃となったとみられる。ネットフリックスやマーベル・テクノロジーが安い。ベッセント財務長官がウクライナでの停戦につながるのであれば、米国はロシア産エネルギーへの追加制裁も辞さないと述べたため、エクソン・モービルとシェブロンが買われた。NYダウは前日比427ドル(0.99%)安の42,579ドル。NASDAQ総合指数は前日比483ポイント(2.61%)安の18,069。S&P500指数は前日比104ポイント(1.78%)安の5,738。
米国株反落と米雇用統計発表前、トランプ大統領が日米安保条約に不満を示したことも警戒され、日経平均は3万7000円割れ。川重やIHIが反落。関税の悪影響を受けにくい利点の任天堂などのゲーム関連も利益確保の売りに押された。春闘で満額回答が相次ぎ、日銀の利上げ観測から不動産株が下落。キオクシアは6日ぶりに反発。肥満症治療薬関連の大阪ソーダが高い。新日本科学は野村証券が格上げ。マックスはウクライナ復興関連を先取り。
スタンダード市場では、日本オラクルが売られ、歯科製品のナカニシが軟調。Speeeは3日続落。クシムは週刊誌報道を否定したことで買われた。シダーは業績予想と配当予想の上方修正が好感された。寿司ロボットの鈴茂器工はいちよし経済研がフェアバリューを引き上げたことで買われた。
グロース市場では、GENDAが反落し、技術承継機構が続落。ヘリオスとアドバンストメディアが売られた。雨風太陽は岩手県大船渡市の森林火災を受け漁師への応援商品を発表したことでストップ高。HOUSEIは生成AIローコード開発プラットフォームの能力強化を好感。
日足チャート上では大陰線。ギャップダウンで5日移動平均線を大きく下放れし、3万7000円を割り込んだ。ボラティリティの高い相場展開が続いており、再びボリンジャーバンドのマイナス2シグマを下抜けてしまった。終値で3万7000円割れとなるのは昨年9月18日以来のこと。週足でも大陰線。一目均衡表の雲の上限が眼下に迫っており、ここを割り込まずに維持できるかが踏ん張りどころとなる。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。今週もマーケット大きな変動を余儀なくされました。日経平均は週末に大きく値下がりし、終値で37,000円の大台を割り込んでいます。
トランプ政権の関税政策をめぐって世界が大きく揺れ動いています。このような事態が早くから心配されており、ある程度は覚悟していたはずですが、想像していた状況と実際に直面してみるのではやはり違います。
マーケットは先行きの見えない状況を最も嫌うものであり、それだけに不安定な動きが続きそうです。ロシアと直接軍事的に向き合う欧州は特に厳しく安全保障面の不安が高まりそうです。
不安定な値動きは続かざるを得ないと見られますが、それでも救いなのは景気敏感株が非常にしっかりとした動きを続けている点です。造船重機と合わせて機械株はもちろんのこと、その他にも鉄鋼、化学それに商社までがしっかりした動きです。
警戒心が充満する現在の株式市場ですが、非鉄セクターも含めて、これらの景気敏感株の動きが鍵を握っているのではないかと見ています。
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注目記事 Pick up
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【トランプとAIで日経平均817円安】
日本証券新聞3月10日(月)紙面1面TOP記事掲載
鉄鋼、海運、医薬品の主力銘柄マーク
7日の東京市場は日経平均株価が817円安となり、3万7,000円を割り込んだ。トランプ米大統領の関税政策に対する警戒ムードが一段と高まるなか、AI関連の半導体メーカーの業績内容を受けたハイテク株への失望売りが加わり米国株が急落。
カナダ、メキシコへの25%の関税には1カ月の猶予期間が設けられたものの、4月2日には貿易相手国と同水準まで関税を引き上げる「相互関税」を課す方針が打ち出されている。しかし、政策の内容や方針は日々変更され、不確実性の高まりがリスク・オフの流れを一段と強めている。また、AI関連ではデータセンター(DC)向け、ストレージ用などの半導体を設計しているファブレスメーカーのマーベル・テクノロジーが19.8%の急落となった。6日に発表した2024年11月~25年1月決算は事前の市場予想を上回る内容だったものの、DC部門が予想を下回り、エヌビディア(NVDA)5.7%安、ブロード・コム6.3%安など主要なAI関連株が売られた。ナスダック総合指数は2.6%安、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4.5%安と、日経平均の大幅安につながるパターンが出現した。
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今日の市況概況
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3月7日(金)☆[概況/大引け]
817円安。トランプ大統領が日米安保条約を批判したことも警戒された
大引けの日経平均は817円安の3万6,887円、TOPIXは42ポイント安の2,708ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は459、下落銘柄数は1,133。出来高は19億9,616万株、売買代金は4兆9,212億円。
米国株反落と米国雇用統計発表前に加えて、トランプ大統領が「我々は日本を守らなければならないが、日本は我々を守る必要がない」と不満を表明したため、日本に攻撃の矛先が向けられるリスクも警戒され、日経平均は3万7,000円割れとなった。
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