技術承継機構(319A)が2月5日、グロースに新規上場する。
製造業・製造関連企業の譲受および譲受企業の経営支援に取り組んでいる。いわゆるPEファンド(買収ファンド)とは違い、譲受した企業の再譲渡は想定しておらず、譲受事業から生まれる利益がグループの主な収益源。
これまで譲受した企業は10社(昨年12月27日時点)。譲受企業について、既存グループ企業とビジネス上のつながりが直接的にあるか否かという点にはこだわっておらず、製造業の中でも幅広い分野に事業を分散させることで、結果として特定の業界の浮き沈みに影響を受けにくい構成となっている。
最大の特徴はM&A遂行能力にあり、具体的には①合計350社超のアドバイザーから1,607件の紹介(創業~昨年9月)を受け、その中から高収益企業のみをスクリーニングするソーシング能力②製造業に特化することで深化した知見と、所属メンバーやグループ会社の業界ネットワークを通じた情報収集に基づく適切な投資判断③個社の自主独立を重んじ、売却を行わない独自のポジショニングやオーナーの社長続投希望に沿った解決策を提案する柔軟性などにより価格以外を売主に訴求、結果として適切な水準の企業価値/EBITDA倍率での譲受の実現を狙う交渉力④金融機関との強固な信頼関係に基づき固定低金利・長期・原則財務コベナンツ(借入人の義務や制限)なしといった好条件を目指す資金調達――などが挙げられる。
さらに、マニュアル化と情報共有を常に進め、仕組み化を徹底することで業務の属人化を避け、M&Aの各プロセスを少人数で効率的に実行することが可能に。社内で設定している従来の投資規律を遵守する前提のもと、一方で上場後は適切な機会があればよりEBITDA規模の大きな会社を譲受することも検討している。
日本には黒字の中小製造業が12万社存在しており、製造業に特化する連続買収企業として譲受先候補のプールは大きい。また、技術力が優れた高収益の優良企業も数多く、海外への販路拡大可能性も十分に秘めている。政府も中小企業の事業承継M&Aを後押しするなど、強い追い風が吹いている。(SS)
概要
●事業内容=製造業の譲受、譲受企業の経営支援
●本社=東京都渋谷区渋谷1-3-18
●代表者=新居英一代表取締役社長
●設立=2018年7月
●上場前資本金=5,500万円
●発行済み株式数=862万7,778株(上場時)
●筆頭株主=新居英一(上場前81.16%)
●公募株式数=74万5,000株
●売出株式数=71万株(ほかオーバーアロットメントで21万8,200株)
●仮条件=1月21日
●ブックビル期間=1月22日から1月27日
●引受証券=SBI(主幹事)、Jトラストグローバル、アイザワ、岩井コスモ、松井、むさし
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2022.12 | 6,804 | 541 | 19.03 | ― |
2023.12 | 9,327 | 926 | 206.49 | ― |
2024.12(予) | 11,000 | 1,500 | 109.08 | ― |
※単位100万円、1株利益は円 |