不正口座、送金バイトなど取り締まり強化
警察庁の有識者会議は8日、マネーロンダリング(資金洗浄)対策に関する報告書をまとめ、罰則の強化や「架空名義口座」を用いた新しい捜査手法を導入する方針を示した。今年の通常国会で犯罪収益移転防止法の改正案の提出を目指す。
同庁によると、昨年1~11月の特殊詐欺およびSNS(交流サイト)型投資・ロマンス詐欺の被害額は約2,764億円(前年同期比60.2%増)と過去最悪に。特殊詐欺ではニセ警察詐欺の被害が多くを占めるほか、SNS型投資では著名人をかたった「バナー等広告」による被害が最多だった。これらの犯罪においては、匿名性を高めるために被害金の振込先口座などに他人名義口座を利用することが多い。
銀行口座がマネーロンダリングに悪用されている状況を踏まえ、報告書には個人が口座を不正譲渡した場合の罰則の強化が盛り込まれた。不正な口座譲渡の摘発件数は2024年で4,362件と、現行の法定刑に引き上げられた11年から約3.5倍に増加。11年には最大7万円だった預貯金口座の売買価格も、現在は最大50万円と高騰している。
近年はSNSで送金を代行するバイトを募集し、マネーロンダリングの一端を担わせる「送金バイト」という手法も増加。いわゆる闇バイトの一種で、23~24年には全国で約100件確認された。現行法では直接罪に問うことはできないが、これについても罰則の導入が検討されている。このほか、警察が架空名義の口座を犯罪組織に渡して資金を追跡・回収する新しい捜査方法の導入が必要との意見でまとまった。架空名義口座に入金された犯罪収益は原則として被害者に返還される。
日本はFATF(金融活動作業部会)による2028年の審査を前に、同組織や金融庁からマネロン対策の強化を求められている。取引モニタリングやAIスコアリングなどの技術を持つ関連株に注目が集まりそうだ。
注目銘柄はカウリス
本命はクラウド型不正アクセス検知サービス「フロードアラート」を展開するカウリス(153A・G)。銀行を中心とした資金移動業のエンタープライズを顧客としており、ガイドラインの作成や法改正といった政策提言も積極的に行っている。昨年9月には全国10社の送配電事業者との連携により電力契約情報を活用したKYC(本人確認)サービスをリリース。金融犯罪の未然防止に加え、金融機関における顧客管理の高度化・効率化などが期待されている。
このほか、デジタルアセット取引関連事業者12社とマネロン対策の実証に取り組む日立製作所(6501・P)、マネロン対策共同機構のAIスコアリングサービスのシステム構築ベンダーに選定されたNEC(6701・P)、クレジットカード向けマネロン対策システムでDTS(9682・P)なども注目。

