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トップ記事2020年10月8日

JIA、「東証1部」昇格 白岩直人社長に聞く

中長期成長への“種”は尽きず

このところ相次ぐマザーズ市場からの東証1部昇格(市場変更)。8日にはジャパンインベストメントアドバイザー(JIA、7172)も晴れて「1部上場企業」の仲間入りを果たし、当日早速、一時7.9%高となった。航空機などのオペレーティング・リース事業を主力とする金融ソリューション企業だ。コロナ禍の逆風下での門出となったが、今後の成長路線をどう描いているのかなどについて、同社の白岩直人社長(写真)に話を聞いた。

――上場から6年。満を持しての1部昇格だ。

「昨年末から準備を進めてきた。コロナは大きな誤算だったが、むしろ厳しい時期に実現できたことに意義があると前向きにとらえている。東証1部企業としての信用力の向上にはビジネス面でも少なからぬ好影響が期待できそうだ。2022年4月に移行予定の東証『プライム市場』に相応しい企業となれるよう、企業価値向上とともにガバナンス強化にも積極的に取り組んでいる」

――主力のオペレーティング・リース事業に及ぼすコロナ禍の影響は。

「国際線の回復時期が見込めないことで航空機向けはかなり大きなダメージを受けている。船舶もさえない一方で、品不足となっているコンテナは非常にいい。他の事業では、コロナと無関係の太陽光発電事業は安定した収益源として期待できる」

世の中にない金融サービスを

――小幅ながら下方修正を発表して今12月期は5.9%営業減益見通しとなった。先行きもコロナ収束の行方次第か。

「先の下方修正は一部案件の販売時期を翌期に繰り越した影響が大きい。現在の当社主力事業は『航空機を中心としたオペレーティング・リース(オペ)のアレンジメント事業』であり、その点でコロナの余波は大きい。しかし、もともと『オペの会社』にするつもりで創業したわけではない。世の中にない金融サービスやプロダクトを提供したいと考え、その“とっかかり”として『オペ事業』が突出した成長を遂げた。当社の顧客は、提供しているサービスの特性上、高収益で優良な中堅企業揃い。1部上場を機に、顧客との信頼関係を発展させ、総合的な金融サービス提供をしていきたい。『オペの会社』で終わるつもりは全くない」

――たとえば何を。

「当社の『事業内容』にも記載しているが、不動産、プライベートエクイティ投資、人材分野、IT活用などで、大手金融機関ができない、きめ細かいサービス提供を構想している。『金融を通じて社会に貢献する企業でありつづける』が経営理念だ。法人向けに限らず、個人向けにも展開したい。例えば不動産商品でも、当社でなければできない特徴を出していく」

――「当社でなければできない」ものは何?

「企業秘密だ(笑)」

NECなどとAI事業開発で連携

――新分野といえば、9月にNEC、大林組、CTCなどと共同で、AI技術などによる事業創出のための新会社「バードイニシアティブ」設立を発表しているが。

「発表内容のとおり、AIのプロジェクトがすでに3つ走っている。まだ研究開発段階ではあるが、ある程度ビジネス化のめどが立った段階で事業として切り出していく予定。他にも “パイプライン”はかなりある模様で、2~3年後に期待している」

――錚々たるメンバーと組んでの共同事業だ。

「NECのOBを通じて業務上のつながりを模索していた。同社には金融に強い人材が多く、その知見を期待している」

――今後もNECと共同での展開はあるか。

「我々がお手伝いできる分野で、ご一緒させて頂けるならありがたい」

「オペの会社」イメージ一新も

――上場後に14倍高まであった株価も、ここ2年ほどは低迷続きだが。

「あくまでも株価は市場が決めることだが、停滞の背景としては、成長性のブレーキ懸念と、最近のコロナ影響の過大視などがあるのではないか。しかし、前述したような新事業の“種”はたくさんあり、私自身が楽しみにしている。短期ではなく、中長期スパンで見てもらいたい」

――上場当初19人でスタートした役職員も10倍を超えた。11月には人員拡大に対応して本社フロアを移転するとか。

「慎重かつ戦略的に事業を拡大していく」

――JIAが15年から日本証券新聞社の親会社となった理由は。

「当社顧客には上場予備軍の優良企業も多く、IPO(新規上場)やIR支援などに共同で取り組める。また、ビジネスの全てと言えるほど重要なのが情報ネットワークだ。金融の中でも『株式』にまつわるコアな情報は、あらゆる分野で武器になる」