5月24日(金)のマーケット
5月23日の米国株市場は続落。週間の新規失業保険申請件数は21万5千件と市場予想の21万9千件より少なかった。S&Pグローバルが発表した5月の米総合購買担当者景気指数(PMI)は54.5と、2022年4月以来2年超ぶりの高水準となった。4月は51.3で、5月の市場予想は51.2だった。これらを受けて、金利が上昇し、株式は売られた。ボーイングは最高財務責任者(CFO)が、4~6月期(第2四半期)もフリーキャッシュフロー(純現金収支)のマイナス幅が1~3月期と同じ約40億ドル(約6,400億円)またはそれ以上になるとの見通しを示したことで売られ、NYダウは下げ幅を拡大した。NYダウは前日比605ドル(1.53%)安の39,065ドル。ナスダックではエヌビディアは買われたが、AMDやスーパー・マイクロ・コンピュータ、アップルは下落した。テスラは年次レポートから、いずれは年間2000万台を販売するとの目標が消えたことで売られた。ブルームバーグはイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が経営の軸足をEVから自動運転車に移している兆候が改めて裏付けられたと伝えたが、株価は下落した。NASDAQ総合指数は前日比65ポイント(0.39%)安の16,736。S&P500指数は前日比39ポイント(0.74%)安の5,267。
NYダウ605ドル安と台湾有事リスクが警戒され、日経平均は朝方735円安。レーザーテックやアドバンテストなどの半導体関連が売られ、富士電機は中期経営計画における半導体とデータセンター関連の売上目標が物足りないという見方から大幅安となった。長期金利が12年ぶりに1%を超えたため不動産株も敬遠された。一方、北海道電力が買われ、高圧直流送電の日立も高い。資生堂はみずほ証券が格上げし、DICは野村証券が格上げした。
スタンダード市場では、メタプラネットが海外ファンドの保有比率低下のため下落。データセンター関連のBBタワーは利食い売りに押された。ジャパンエンジンが堅調で、セルムは自社株買いの上限を引き上げたためストップ高。フュートレックは経営統合相手のエーアイにツレ高。
グロース市場では、アイズとコパコーポが反落。ジャパンワランティサポートが大幅安。一方、エーアイは生成AI連携音声合成ソリューションを開発し、採用されたと発表しストップ高。キャスターは生成AIを活用したプロダクト開発とサービス運用で合弁事業と発表しストップ高。
日足チャート上では、エヌビディアの決算を好感し上方向への動きを見せたが、NYダウの大幅安を受けて再び5日・75日移動平均線の下に潜り込む格好となった。下値では25日移動平均線がサポートとなり、一目均衡表の雲の下限で踏み止まった。週足では長い上ヒゲを伴う十字足に近い陰線。3万9400円台まで上値を伸ばしたが、引き続き13週移動平均線(3万8998円)が上値抵抗となった。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。世界中の人々がエヌビディアの株価と業績の伸びに驚き、かつ沸いた1週間でした。
エヌビディアの業績の拡大はとどまるところを知りません。黒い革ジャンのよく似合うジェンスン・ファンCEOは「新しい産業革命が始まった、私たちは次なる成長への態勢が整っている」と全世界に向けて高らかに宣言しました。
あらためてエヌビディアの持つ驚異的な爆発力と世の中への影響力が図らずも浮かび上がっています。
ただし今週に関して言えばエヌビディアばかりでなく、マイクロソフトから発表された「生成AIを搭載したパソコン」の開発成功のニュースも注目されました。タブレットとノートパソコンの形で6月18日から順次発売されるそうです。価格も999ドルからと手ごろです。
マイクロソフトは「コパイロット+PC」によって「パソコンを再発明する」と表現しています。新しい時代の扉がまたひとつ、私たちの目の前で開かれたような気がします。スマホやPCの在庫調整は徐々に終了に近づいてるのではないでしょうか。
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注目記事 Pick up
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【軟調相場を救う「自社株買い」】
日本証券新聞5月27日(月)紙面1面TOP記事掲載
事業法人が圧倒的買い方セクターに
頼りになる買いセクターは「自社株買い」だけ、といった状況にある。
23日発表された5月第3週(13~17日)の投資主体別需給で、事業法人(≒自社株買い)は2,617億円の買い越しとなった。これに続く買い越しは信託銀行の472億円で、5分の1以下だ。前の週(5月第2週)も事業法人は1,369億円の買い越し。この週は外国人も2,636億円の買い越しながら、先物を2,800億円強売り越していたため、合算すれば売り越しとなっている。
決算シーズンを通じての高水準の自社株買い発表が話題を集めた。4月の自社株買い決議金額は75社合計で1兆2,182億円となり、4月としては過去最高(2022年の1兆1,023億円)を更新したが、5月に入ってさらに加速。5月の過去最高は昨年の3兆4,398億円(東海東京インテリジェンス・ラボ試算)だったのに対し、今年は優に5兆円を超えているもよう。フィリップ証券では「4月から5月22日までの発表済み金額ベースで既に7兆1,000億円に達した」としている。年間の過去最高も大きく塗り替えそうなハイペースの発表状況だ。
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今日の市況概況
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5月24日(金)☆[概況/大引け]
反落。半導体関連が下落し、富士電機が大幅安。日立や資生堂、フジクラが高い
大引けの日経平均は457円安の3万8,646円、TOPIXは12ポイント安の2,742ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は599、下落銘柄数は1,004。出来高は13億9,976万株、売買代金は3兆8,624億円。
NYダウの605ドル安と台湾有事リスクが警戒され、日経平均は朝方735円安の3万8,367円となった。
レーザーテックやアドバンテストなどの半導体関連が売られ、富士電機は中期経営計画における半導体とデータセンター関連の売上目標が物足りないという見方から大幅安となった。
長期金利が12年ぶりに1%を超えたため、東京建物や東急不動産などの不動産株も敬遠された。
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