3月11日(火)のマーケット
3月10日の米国株式市場は急落。NYダウは一時1,188ドル安となった。トランプ大統領が9日放送の番組で、米国経済の年内のリセッション(景気後退)入りを予想しているかとの質問に、「私はそのようなことを予測するのは嫌いだ。我々は非常に大きなことを行っているので過渡期にある」とコメントした。トランプ政権が関税強化を遂行するために、個人消費の悪化や物価上昇に対して配慮しないと受け止められ、スタグフレーション(景気後退とインフレの同時進行)が警戒された。ドルも売られ、一時1ドル=146円64銭となった。テスラが大幅安。中国の全国乗用車市場情報連合会(乗連会)の崔東樹秘書長(事務局長)は記者会見で、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政界進出により、すでに急落している同社の電気自動車(EV)販売にさらに悪影響が及ぶ可能性があるとの見方を示した。エヌビディアやパランティア・テクノロジーズ、マイクロストラテジーが売られた。原油先物も反落したが、エクソン・モービルは3日続伸。NYダウは前日比890ドル(2.08%)安の41,911ドル。NASDAQ総合指数は前日比727ポイント(4.00%)安の17,468。S&P500指数は前日比155ポイント(2.70%)安の5,614。
トランプ大統領が米国経済は過渡期にあると述べたため、関税による景気悪化が警戒され、米国株は急落した。ドルも売られ円高が進行したため、日経平均は一時1041円安の3万5987円となった。その後、米株先物が小幅高となったため、日経平均は下げ幅を縮めた。ほぼ全面安でIHIやフジクラ、メガバンク、ソフトバンクG、トヨタ、リクルートが安く、ディスコと住友鉱山は昨年来安値。一方、GMOが買われ、アインHDやすかいらーくは高い。
スタンダード市場では、メタプラネットやハーモニックドライブ、日本電子材料が売られ、半導体洗浄装置のJETは安値更新。インタートレードは5日続伸。AIフュージョンキャピタルは6日ぶりに反発した。ラーメン店の丸千代山岡家は2月既存店売上高が好調で買われた。アルテックが高い。
グロース市場では、カバーと雨風太陽が反落し、グロービングが安値更新。グローバルセキュリティやアストロスケール、Aiロボティクスが安い。美容家電のMTGは業績予想を上方修正し大幅高となった。GC企画はTMNと資本業務提携を発表しストップ高。クオリプスは4日続伸。
チャート上では、長い下ヒゲを伴う陽線。反落で一時は3万6000円割れの水準まで急落を見せたが、急速に下げ幅を縮小。ボリンジャーバンドのマイナス3シグマ(3万5887円)を目前にして、マイナス2シグマ(3万6701円)まで急回復となった。
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注目記事 Pick up
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【TOPIXも下放れ 景気懸念で米株が急落】
日本証券新聞3月12日(水)紙面1面TOP記事掲載
下げ相場は終盤の入り口か 防衛、金融など仕込み場を探る
米国発の下げ相場が止まらない。11日の東京市場では日経平均株価が一時、前日比1,041円の下落となったほか、2,700ポイント台で踏みとどまってきたTOPIXも下放れて、底値を模索する展開となった。
10日の米国市場ではNYダウが2%超の下落、ナスダック総合指数は4%、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は4.85%の急落。ナスダックは昨年12月の最高値から13%超の下落となり、調整局面入りが明確になった。
下げのきっかけはトランプ大統領の発言。9日に流れたFOXニュースのインタビューが景気の下押しなど短期的な痛みをいとわず関税政策を推し進めると受け止められる内容だった。保護主義的な関税政策が米国の経済を下押しし、競争力を低下させるとの懸念が一段と強まった。ただ、ウクライナのゼレンスキー大統領との会談決裂後、すぐに関係修復に動いたように、トランプ氏の考える「国益」に沿うならば、あるいは取引が有利に進むならば、簡単に姿勢を変えることもあり、良い方向、悪い方のどちらに進むにしても先は読めない。関税問題に揺さぶられる展開はしばらく続くだろう。
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今日の市況概況
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3月11日(火)☆[概況/大引け]
下げ幅縮小。米国はトランプセッション(トランプ不況)だが、日本は賃上げによる好循環期待
大引けの日経平均は235円安の3万6,793円、TOPIXは30ポイント安の2,670ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は418、下落銘柄数は1,176。出来高は22億4,466万株、売買代金は5兆4,820億円。
トランプ大統領が景気後退入りの可能性を問われ、「我々が行っていることは非常に大きいので、移行期間がある」と述べた。
市場では関税引き上げによるインフレと消費悪化が懸念されているが、トランプ大統領はこれらの副作用に対して目をつぶる姿勢なため、10日の米国株は急落してドルも売られた。
11日の日経平均は一時1,041円安の3万5,987円となった。
ただ、時間外取引で米株先物が上昇したことや、日本は賃上げによる経済の好循環が見込まれるという見方から、日経平均は下げ幅を縮めた。
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