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トップ記事2024年6月11日

「不動産含み益」を再チェック 今後の有報発行ラッシュで再脚光も

相場堅調なれど商い薄し…。プライム市場売買代金は今年最低となった前日に続いて11日も下から数えて4位に低迷。焦点の日米金融会合を控えて凪に近い状況にある。こんな時には今後の焦点となりそう事項をチェックしておくのも悪くない。

間もなく本格化してくる株主総会だが、総会直後に相次ぐのは配当金支払いであり、有価証券報告書発行だ。特にこの有価証券報告書は企業情報の宝庫であり、一時期は「株主総会開催を後ろ倒ししてでも総会前の有報発行を」といった議論が盛り上がったこともある。そのなかでも注目してみたいのが「賃貸等不動産関係」情報だ。

ちなみに、2月期決算企業では東宝(9602・P)が5月23日の株主総会当日に発行しており、107ページ目の当該項目を見ると、期末時価から期末残高を差し引いた「含み益」は、昨年2月末の3,929億円から前期末で4,045億円に増加した。11年前に東宝不動産を完全子会社化し、豊富な不動産を保有する同社。これだけで時価総額の42%強を占める。時価PBR1.9倍ながら、含み益を勘案した実質ベースでは1倍そこそこということになる。

これから有報発行の相次ぐ3月期決算企業には不動産含み益に照らして極端に割安な銘柄も少なくない。都市部を中心とした昨今の不動産価格上昇を踏まえれば、さらなる含み益アップも期待できそう。そして実際に発表されれば、割安ランキングを付した証券各社のストラテジーレポート発行なども想定される。

賃貸等不動産含み益が時価総額比で大きい主な企業
銘柄 コード 含み益(A) 時価総額(B) A÷B
テーオーシー 8841 1102 660 166%
住友不動産 8830 37367 23313 160%
三菱地所 8802 46339 33390 138%
京阪神ビル 8818 816 790 103%
東京建物 8804 5264 5317 99%
三井倉庫HD 9302 1104 1125 98%
宮越HD 6620 625 693 90%
イオンモール 8905 3255 4388 74%
平和不動産 8803 1115 1490 74%
空港施設 8864 228 316 72%
相鉄HD 9003 1513 2403 63%
三菱倉庫 9301 2722 4387 62%
安田倉庫 9324 307 509 60%
京浜急行電鉄 9006 1914 3216 59%
日空ビル 9706 2632 5236 50%
TBSHD 9401 2358 6669 35%
(単位:億円、時価総額は11日前場終値)

表は、昨年の開示データをベースに時価総額に対して含みの大きい銘柄をピックアップした。

このなかで、安田倉庫(9324・P)は10日までの4日間で22.4%高となり(11日はさすがに急反落)、昨年末からの上昇率は5割に達した。この株の含み益307億円の時価総額に占める比率は、11日前場時点で60%。さらに、この株は保有するヒューリック株式の時価評価も421億円に達しており、(急伸を経てなお)資産価値から見た割安感が強い。今後には、これらを売却しての株主還元拡充なども思惑視されてこよう。表のなかでは他に、TBSHD(9401・P)も土地含みの時価総額比は35%にとどまるが、保有する東京エレクトロン株式の時価評価は5,800億円弱。これだけで時価総額の87%に達する。この先、こうした一連の銘柄群に再び関心が向かうとみるなら今が仕込み好機となりそうだ。(K)