キオクシアHD(285A)が12月18日、東証プライムに新規上場する。
同社はフラッシュメモリと呼ばれる半導体メモリで世界3位の大手。前身は不正会計問題で経営危機に陥っていた東芝から2017年にメモリ、ストレージ事業を分離して設立された東芝メモリ。18年に米国のベインキャピタルグループを軸とする企業コンソーシアムが主導して株式の過半数を取得、買収していた。
キオクシアの社名は日本語の「記憶(KIOKU)」と、ギリシャ語の「価値(AXIA)」に由来する。1987年に東芝が世界初のNAND型フラッシュメモリを発明、91年から量産が始まった。
フラッシュメモリはデジタルカメラ、スマートフォン、タブブレット端末、パソコンなどの記憶媒体に使用されているほか、AIサービス市場の拡大を受けクラウド、高速通信分野などでの需要が拡大すると予想されている。大手調査機関の予想では世界の生成データ量は増加が続き、フラッシュメモリ全体の需要は2023~28年に2.7倍になると予想されている。
同社の主な仕向け先としてデータセンター(DC)・エンタープライズ市場があり、今後はAI推論サーバーの増加など受け、SSD(フラッシュメモリで構成される大容量記憶装置)の需要増加が期待される。同じ調査によるとAIデータセンター向けSSD需要は、23~28年にかけて年平均成長率72.0%で成長すると予想されているという。
スマホ、パソコンも今後は端末側にAI機能を搭載した機種が主流になるとみられ、この分野での需要も増加する見込みだ。
25年3月期第3四半期(3Q、4~12月)までの業績予想は売上収益が4,300億~4,800億円(前年同期比10.6%減~0.2%減)、純利益が560億~840億円(同47.3%減~20.9%減)。通期の予想は公表していない。24年3月期は最終損益が2,437億円の赤字だった。
今回の上場では公募が2,156万株、売り出しが5,038万株(オーバーアロットメント1,079万株)で、公募で調達する資金は277億円だ。調達した資金は四日市工場(三重県)、北上工場(岩手県)の次世代フラッシュメモリ(第8世代3次元フラッシュメモリ)向けの前工程生産設備に充てる。(M)
概要
●事業内容=メモリおよびSSDなど関連製品の開発・製造・販売事業などを営むグループ会社の経営戦略策定および管理
●本社=東京都港区芝浦3-1-21
●代表者=早坂 伸夫代表取締役社長
●設立=2019年3月
●上場前資本金=100億円
●発行済み株式数=5億3,906万2,500株(上場時)
●筆頭株主=東芝(上場前39.68%)
●公募株式数=2,156万2,500株
●売出株式数=5,038万100株(ほかにオーバーアロットメントで1,079万1,300株)
●仮条件=12月2日に決定
●ブックビル期間=12月2日から6日まで
●引受証券=三菱UFJモルガン・スタンレー、モルガン・スタンレーMUFG、野村、BofA、SMBC日興、みずほ、大和(共同主幹事)、SBI、楽天、松井、マネックス
業績推移(連結)
売上収益 | 営業利益 | 1株利益 | 配当 | |
2023.3 | 1,282,101 | ▼99,015 | ― | ― |
2024.3 | 1,076,584 | ▼252,698 | ― | ― |
2025.3(予) | ― | ― | ― | ― |
※単位100万円、1株利益は円、▼は損失 |