北里コーポレーション(368A)が6月25日、東証プライムに新規上場する。
不妊治療をサポートする医療機器や試薬などの消耗品、遺伝子検査などのサービスを提供している。具体的には、医療機器は卵子や精子などの採取・受精・移植時に用いるカテーテル、卵子や受精卵などを凍結保存する容器、顕微授精時に用いるピペットやニードルなどを手掛ける。試薬は、卵子や受精卵を凍結保存・融解するための「卵子/胚ガラス化・凍結液 融解液」、卵子や受精卵を培養するための「HTFメディウム」など。
不妊治療における卵子・精子の採取、洗浄、培養、受精、卵子・胚の凍結保存、融解に至る全ての工程に関わる製品を静岡本社工場と東京オフィスで総合的に提供できることが強み。全ての製品を静岡本社工場、東京オフィスで製造している。1本1本を手作業で作製し、数ナノメートルや数マイクロメートル単位の差のカスタム製品を製造できる技術力を持ち、これによりユーザーニーズに見合う製品の製造が可能になっている。
また、凍結分野は世界で先駆けて製品を開発した。体外受精では卵子および受精卵を凍結保存することでより良いタイミングでの胚移植を実現し、妊娠率を高める凍結プログラムがある。中で同社は超急速ガラス化法を用いて卵子/受精卵(胚)を凍結保存する試薬、保存容器の開発製造に携わり、高い生存率の実現に貢献している。
ユーザーは個人病院や大病院。国内では、取り出した卵子や受精卵を液体窒素内で凍結保存するための容器「Cryotop」や、体外受精した受精卵を子宮内に移植するために使われる「胚移植用ETカテーテル」や「卵子・受精卵凍結用試薬」など多くの製品が利用されている。海外は、世界約110カ国・地域で自社製品を販売するため、2025年4月30日時点で世界で約80社の代理店ネットワークを持つ。特に近年は規模、成長性ともに大きい米国、中国を中心に顧客拡大に注力している。地域別売上高は日本33.9%、欧州33.5%、米国9.9%、中国8.4%、インド4.5%、その他9.7%。
生産施設面では、前期に新社屋建設に着手し、今期から生産エリアを拡大する予定。株主還元は年間連結配当性向40%以上と安定的な配当を継続する方針。
社名の「北里」は「北」と「故郷」という言葉を組み合わせて名付けた。本社が位置する「故郷」の「北」側にそびえ立つ雄大な富士山、大自然に抱かれたこの地を起点に前進を続ける思いが込められている。(Q)
概要
●事業内容=不妊治療に関する医療機器などの製造販売
●本社=静岡県富士市柳島100番地10
●代表者=井上太綬代表取締役社長
●設立=2007年4月
●上場前資本金=1,000万円
●発行済み株式数=1,000万株(上場時)
●筆頭株主=北里商事(上場前58.5%)
●公募株式数=なし
●売出株式数=1,400万株(ほかオーバーアロットメントで210万株)
●仮条件=6月9日に決定
●ブックビル期間=6月10日~13日
●引受証券=野村、SMBC日興(共同主幹事)、マネックス、静銀ティーエム
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2024.3 | 10,080 | 5,995 | 99.32 | 40 |
2025.3 | 10,302 | 5,767 | 94.72 | 41 |
2026.3(予想) | 10,602 | 5,267 | 87.46 | 41 |
※単位100万円、1株利益・配当は円 |