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IPO2023年3月20日

新規上場紹介 ispace(アイスペース) 4月12日 グロース 月面探査からデータビジネスへ

ispace(9348)が4月12日、グロースに新規上場する。

月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業。世界初の民間月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に参加した日本唯一のチーム「HAKUTO」を運営し、現在は民間月面探査プログラム「HAKUTO―R」に取り組む。

「HAKUTO―R」はミッション1の運用が後半段階を迎える。同社が開発したランダー(月着陸船)は昨年12月に打ち上げられた後、今年1月20日には地球から約137.6万キロメートル地点まで航行し、民間資本により開発された商業的に運用中の宇宙機としては地球から最も遠い地点まで移動した。

ミッション1では打ち上げから着陸までの間に10段階のマイルストーンを設定しているが、2月末までに第5段階(深宇宙航行の安定運用を1カ月間完了)が完了している。この時点でランダーは引き続き月に向けて航行を継続しており、4月に「氷の海」南東に位置するアトラス・クレーターに着陸予定。

自社で開発中のランダーおよびローバー(月面探査車)を用いた①ペイロードサービス、②データサービス、③パートナーシップサービスを提供するビジネスモデル。2025年までに3回の月面着陸ミッションを行い、各サービスの信頼度と成熟度を商業化に足る水準にまで高めることを計画している。

①は顧客の荷物を月に輸送するサービスで、ランダーやローバーに搭載するための技術的なアドバイス・調整のほか、月面到着後の実験、月面データの取得などのサービスも含まれる。荷物の重量に応じて1キログラム当たりの価格を顧客に課金する料金体系であり、ロケット打ち上げの1~2年前の契約時から実際の打ち上げまでの間に、一括もしくは複数回に分割されての入金となる。

ミッションを重ねるごとに運搬可能な荷物の重量も増加していく見通し。ミッション4以降、特に2020年代後半にかけては同サービスによる安定的な収益を基盤としながら、取得データを解析・高付加価値化したデータプラットフォームを構築し、サブスクリプションモデルのビジネスを展開する戦略を描いている。データプラットフォーム構築に向け、データ取得のためのセンサー開発、データ解析、水資源探査、輸送サービス向上などの先端開発投資を順次実施していく予定。

②は現時点で売上計上の開始に至っていないが、将来的にはミッションを通じたデータ取得サービス、クラウド上に構築した「大規模な月のデータベース」に顧客が自由にアクセスできるSaaS型・サブスクリプションモデルのビジネスを展開していく。ミッション1ではカナダの民間企業であるNGCとの間で、ispaceが開発するカメラを利用して月面画像データを取得する契約を締結している。

③では、ispaceの活動をコンテンツとして利用する権利や広告媒体上でのロゴマークの露出、データ利用権などをパッケージとして販売し、技術開発や事業開発での協業を行うパートナーシップ・プログラムの提供を行っている。「Google Lunar XPRIZE」の際には、累計約10億円の売り上げを計上した。現在の「HAKUTO―R」においても複数の民間企業とパートナーシップ関係を構築し、パートナー各社から受領した協賛金総額を契約時以降プログラム終了までの期間で分割して月々計上している。(SS)

概要

●事業内容=月への物資輸送サービスをはじめとした月面開発事業
●本社=東京都中央区日本橋浜町3-42-3
●代表者=袴田武史代表取締役社長
●設立=2010年9月
●上場前資本金=9,302万2,000円
●発行済み株式数=7,860万820株(上場時)
●筆頭株主=袴田武史(上場前19.12%)
●公募株式数=2,469万9,700株(国内:1,993万5,200株、海外:476万4,500株)※最終的な内訳は4月3日に決定予定
●売出株式数=124万2,900株(オーバーアロットメント)
●仮条件=3月27日に決定
●ブックビル期間=3月28日から31日まで
●引受証券=SMBC日興(主幹事)、SBI、マネックス、松井、アイザワ、あかつき

業績推移(連結)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2022.3 674 ▼4,039
2023.3(予) 984 ▼11,287
2024.3(予) 6,196 ▼7,885
※単位100万円、1株利益は円、▼は赤字

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