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コラム2022年12月15日

たけぞう氏「2023年の投資戦略」語る

メディアでもおなじみ著名投資家のたけぞう氏が日本証券新聞の個人投資家向けセミナーに登壇。2023年に向けた投資のヒントを語った。

【概算要求から投資テーマを絞る】
国策に売りなし。まずは岸田政権の方向性をみるべく各省庁からの概算要求をひもといてみたい。

1:物価高騰・賃上げへの取り組み
∇電気・都市ガス料金の負担軽減
∇ガソリン補助金を継続
∇中小企業の賃上げ支援を大幅拡充

2:円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復
∇訪日外国人旅行消費額の年間5兆円超の目標達成へ政策パッケージの推進
∇農林水産物・食品輸出強化

3:「新しい資本主義」の加速
∇妊娠・出産時に計10万円相当支援
∇リスキリングの支援強化

4:「国民の安全・安心の確保」
∇送迎用バスの安全装置改修支援
∇悪徳商法等の対策強化

ここで注目したいのは「リスキリング」だ。賃金上昇を後押しするべく、従業員が社内で新たな業務に就けるようにするための再教育のこと。ここに、経済産業省が22年度第二次補正予算案に753億円を計上する方針であることが分かっている。

関連銘柄は多く、例えば、企業の人事部向けなどに講師派遣や講座運営などを提供するインソース(6200・P)、国内最大級の技術系人材サービス会社のテクノプロ・ホールディングス(6028・P)などは、直近業績も好調。株価が緩んだところは積極的にいってみたい。

逆に百貨店など訪日外国人増や円安で恩恵を受ける銘柄は厳しいだろう。インバウンド消費額で年間5兆円、これはコロナ禍の直前の実績4兆8,000億円を上回るもので、けん引役だった中国のコロナ対応が激変しない限り達成は見込めない。

【2023年に「変わる」こと】
<1月>
「変化」には先回りで対応したい。まずは1月、新生児1人当たり「出産準備金」として計10万円のクーポンなどが支給されるようになり、さらに、「出産育児一時金」が42万円から47万円へ増額される。当然、西松屋チェーン(7545・P)ピジョン(7956・P)などベビー用品にインパクトを与えることが想定されている。

電子処方箋の運用開始により、オンライン医療関連のエムスリー(2413・P)メドレー(4480・P)への注目が高まりそうだ。

<4月>
中小企業でも時間外労働に対する対応が求められるようになったりといった規制が始まるが、インパクトとしてはDX(デジタルトランスフォーメーション)関連に集約されそうだ。給与をデジタルマネーで支払い・受け取りができるようになる「デジタル給与」の解禁、もうひとつ、10月からスタートする「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」、全ての事業者が書類保存について新たな対応を義務付けられる制度だが、GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788・P)マネーフォワード(3994・P)Sansan(4443・P)ラクス(3923・P)ラクーンホールディングス(3031・P)などが恩恵を受けそうだ。

<次期日銀総裁の行方>
日銀の黒田総裁が4月に任期満了を迎えるため「次」が注目されている。これまで利上げを拒んでいた黒田氏から一転、欧米など世界にならって日本が利上げ方向に踏み出せば為替水準も大きく変わる可能性があり、個別銘柄選好トレンドも激変する。

(本稿は11月15日に行われた日本証券新聞・個人投資家向け株式講演会の内容を抜粋したものです)

たけぞう氏プロフィール
証券会社に30年勤務、うちディーラーとして24年で50億稼いだ“伝説のディーラー”。独立後は個人投資家として、日常の生活実感から銘柄を絞り込む「アリの視点」と、国策から未来の投資キーワードを予測する「タカの視点」の2本柱で着実に利益を積み重ねる。“誰にでもわかりやすい”投資手法をまとめた「たけぞうの50億稼いだ男のメルマガ」(パンローリング)が好評。会員には限定オンラインセミナーの参加、たけぞう氏への質問などの特典も

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