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インタビュー2021年2月4日

トップインタビュー アドウェイズ 岡村陽久代表取締役社長に聞く

テクノロジーで広告効果を最大化

『人と機械の共生』を実現

アドウェイズ(2489)は昨年12月7日にマザーズから東証1部への市場変更を果たした。ここへきては全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」が花開き、従来の“広告代理店”のイメージを塗り替えつつある。今後の成長戦略を岡村陽久代表取締役社長=写真=に聞いた。

――まずは東証1部への市場変更を経て、今の気持ちを聞かせてください。

「“東証1部昇格”はアドウェイズの経営目標の1つだった。これを実現できて良かったと思っている。昇格の際の厳しい審査をクリアし、ガバナンスの効いた会社というお墨付きを得られた」

――ネット広告系の会社はたくさんあるが、その中でも御社の強みは。

「広告会社でありながら、社員の約半分が技術者と技術者比率が高い。広告をただ流すだけでなく、最先端のテクノロジーを用いて新たな価値を創造し、広告の効果を最大化している点が当社の特徴。近年、業界で主流となっている運用型広告は、ユーザーの属性や行動などからターゲットを大量に設定して広告を配信し、その効果に応じてターゲットやクリエイティブを変更・改善しながらインターネット上のユーザーの反応を獲得していくというもの。しかし、これらを人間が担うには物理的な限界がある」

「そこで、機械学習を通して従来の人的オペレーションを全自動化するシステムを開発した。ターゲティングから広告配信、効果の測定・検証まで0.1秒間に約50万回の計算が可能。データの蓄積に伴い精度が向上し、今では人が配信する場合と比べて倍の広告効果を出せるようになった。これが現在の『UNICORN』というプロダクトであり、売上高は四半期ベースで前年同期比2.3倍のペースで拡大している。こうした技術は恐らく他社でも開発を進めているが、実際に市場で使われているプロダクトは現時点で世界的に見ても当社のUNICORNと他海外の業界最大手の1社のみ。国内で言えばこの技術の開発に成功している企業はほかにないとみられる」

――2021年3月期の業績予想を上方修正(昨年11月発表)するなど事業は好調な様子。上期のポイントを教えてください。

「広告事業はもともとゲームアプリや電子コミック、EC(電子商取引)などの領域に強い。第2四半期(昨年7~9月)はコロナ禍の外出自粛の影響により需要が増加し、クライアントの広告費も増加。ここに機械学習による広告の効果が高まったタイミングが重なり、特需をしっかり獲得することができた。売上高については下期も比較的順調に推移するのではと考えている」

――今後注力していく取り組みは。

「若者のTV離れが加速し、特にいわゆるナショナルクライアントは従来のTVCMでのブランディングが難しくなってきた。こうした状況を踏まえ、従来はパフォーマンス領域の広告のみを扱っていた当社も2年前からブランディング領域に進出。博報堂DYメディアパートナーズとの資本業務提携により、これまで課題だった大手企業へのアプローチが強化され、今のところ博報堂DYグループ協業でのコンペ勝率は約80%と非常に高い。既に巨大プレーヤーがいる領域ではあるが、当社はUNICORNによる高精度なターゲティングと、3DCGやAR(拡張現実)機能などのクリエイティブテクノロジーを用いて、これまでになかったインタラクティブな広告で一線を画している」

――会社の将来像を教えてください。

「当社がテーマに掲げている『人と機械の共生』とは、“機械が得意なこと”“人にしかできないこと”の2つを分離し、互いが得意なことを最大化させることで、より広告主に価値を提供していくという考え。将来的には、テクノロジーを駆使して広告の効果を高める領域で世界有数の企業となることを目指している」

――最後に株主還元策に対する考え、投資家の皆さまへ一言お願いします。

「21年3月期の配当については、配当性向20%、もしくは1株当たり2円60銭のどちらか高いほうをメドとしている。四半期ごとに開催する決算説明会は、機関投資家や証券アナリストだけでなく個人投資家や元株主も参加できるようにするなど、投資家とのコミュニケーションを大事にしている。昨年、いち早くハイブリッド出席型バーチャル株主総会を実施するなど、事業以外の最先端の取り組みにも積極的だ。テクノロジー企業としての新しいアドウェイズ像を広めるとともに、業績面でも成長を実感してもらえるようまい進していく」