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インタビュー2024年4月22日

トップインタビュー オオバ 代表取締役社長 辻󠄀本茂氏 次世代の「まちづくり」を担う100年企業

連続増配や自社株買い、株式消却で株主還元を強化

2022年に創業100周年を迎えたオオバ(9765・P)は、国や民間企業の都市計画の土台である計画・調査・設計などのコンサルタント業務を手掛けている。戦前は主に測量や設計といった民間の宅地造成を担っていたが、戦後の高度経済成長期には都市再開発に伴う「まちづくり」を縁の下から支えてきた。土地区画整理の設計など従来のハード部門の業務から、行政と住民の仲介といったソフト部門の業務が拡大するなか、変貌を遂げる次世代のまちづくりについて辻󠄀本茂代表取締役社長(写真)に話を聞いた。

――前期まで12期連続で営業増益中だ。オオバの強みを教えてほしい。

コア業務であるまちづくりにおけるノウハウだ。にぎわいある街をつくるためのコンサルティングをはじめ、道路や橋梁(きょうりょう)、上下水道といったインフラの整備によって、土地の付加価値を高めることに強みを持つ。今後、少子高齢化が加速する社会では発注する側の要望も変わってくるので、われわれも時代のニーズに対応してノウハウを磨いていきたい。また、今後、女性ならではの感性がまちづくりには重要になると考えている。

成長戦略として、中期経営計画において、社会課題の解決に取り組んでいる。官公庁では、防衛土木への取り組みを強化し、自衛隊施設の最適化に伴う基本方針策定業務、マスタープラン作成業務を受注した。また、民間では、生産拠点(ものづくり)の国内回帰と、海外資本の参入による産業用地・物流用地開発支援業務など民間需要の増加を背景に、熊本のJASM/TSМC(台湾積体電路製造)1期工場、隣接するソニーセミコンダクタ工場建設に絡む開発許認可・土木設計業務などを受注した。今後も、こうした取り組みを強化していきたい。

――業績面での目標数値を教えてほしい。

中期経営計画では27年度の業績目標として売上高200億円(24年5月期計画は170億円)、営業利益24億円(同18億円)を掲げている。防災・減災、防衛土木を含む国土強靭(きょうじん)化や円安、地政学上のリスクによる生産拠点の国内回帰が牽引役だ。国土交通省の技術者単価が過去12年間で約50%上がったことも収益に貢献している。1993年度に記録した最高益である23億3,100万円超えと株価2,780円は常に念頭にある。

ただし、現在の社員規模で売上高200億円を達成するのはハードルが高いと認識している。年間30人強の新卒採用のほか、優秀な土木技術者の中途採用を強化していく。M&Aも商圏が重ならない地域で推進していきたい。

オオバ(9765・週足)

――11日には自社株買い、株式消却と今期増配を発表。株主還元の強化にはかなり積極的だ。

昨年7月に総還元性向を50%から60%に引き上げた。これは無借金の実現かつ自己資本比率が70%まで充実したことによる。第3四半期決算も順調な推移を確認できたため、年間配当金を当初計画の34円から37円に引き上げたほか、発行済株式総数の1.25%に当たる20万株、1.5億円を上限とする自社株買いと、自社株式25万株の消却を発表した。今後も、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を心がけていきたい。

――クオカードを贈呈する株主優待が好評だ。

オオバの株主の約半数は個人株主である。優待は長期保有の株主を優遇する仕組みとしており、今後も、個人株主にとって魅力的な優待を実施していく。また、社会貢献の一環として2,500株以上保有の株主に、障がい者による福祉チョコレート工房ショコラボの菓子を贈呈している。

――最後に投資家へのメッセージをお願いしたい。

建設コンサルタントの本分は人々の福祉に貢献する社会の黒子であると思う。謙虚で、誠実な姿勢が、信用というバランスシートに計上されない無形の資産を大きくし、持続的な成長の要諦であると考えている。また、デフレの脱却宣言を心待ちにしている。30年間封印してきた企業のアニマルスピリッツが再び喚起されることを願っている。(NA)