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インタビュー2024年1月18日

トップインタビュー ナルネットコミュニケーションズ 鈴木隆志代表取締役社長

変化をチャンスに EV化、2024年問題など

DX基盤「モビノワ」で新たなサービスを展開

自動車関連のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を展開するナルネットコミュニケーションズ(5870)が昨年12月25日、グロース市場に上場した。法人向けオートリースサービスを提供する企業から車両管理(点検・車検・修理など)を一括で受注するメンテナンス受託が主力事業。成熟市場のようにも見えるオートリース関連市場でどのような事業展開を図るのか。今後の成長戦略も含め、鈴木隆志代表取締役社長(写真)に聞いた。

――グロース市場への上場ですが、創業は古いですね。
「創業は1978年で、自動車リース業からスタートした。しかし、自動車リースはアセットコストが大きく、そういったビジネス形態から脱却を図るため、オートリースのサポート事業をはじめ、これが現在のスタイルのスタートとなった。EV(電気自動車)化の進展などモビリティが変化するなか、得意のメンテナンス事業を母体として、コンサルテーションBPOを自負している」

――会社としての強みを教えてください。
「当社の大きな強みはストック基盤があるということだ。メンテナンス事業は法人向けオートリースサービスを提供する企業を中心に車両管理を一括で受注する。全国の整備工場と連携して整備を依頼、リース期間に合わせてメンテナンス管理業務を受託している。定額でメンテナンスの受託料金を頂き、その中で発生する整備について修理工場に、支払いをしていく。全国に1万1742の整備工場のネットワークを持ち、こういったものの積み上げが当社の強みだ」

「そして、それを支えるのが、『アナログ×デジタル』の体制だ。デジタルでは自社開発の基幹システムに車両や整備のデータを蓄積している。一方、アナログではパート社員を積極活用し、取引先との密なコミュニケーションを確保し、お客さまのニーズ、整備工場の整備に対する考え方なども登録している。これらにより、商品化の速さと柔軟性を実現している。そして受託先の整備工場のネットワークをフル活用、お客さまのニーズに対応しているところが強みとなっている」

「本社が愛知県春日井市に構える理由の一つに、名古屋市のベッドタウンでパートの担い手と主婦層が多く在住、人材の確保がしやすいということがある。非常にコミュニケーション能力が高く、大きな戦力になっている」

――ナルネットが事業展開する自動車関連BPOの市場規模は?
「自動車の国内の総保有台数は8,016万台(2023年3月時点)で、自動車関連BPO市場は1.1兆円ほど。このうちオートリース関連は406万台、511億円となっている。法人リースについては需要の拡大が続き、安定的な成長が見込める。それに加えて個人のマイカーのリースも消費者の志向が「所有から利用」に変化し、今後も増加の見込みだ。これらを成長につなげる。当社の23年3月期は粗利ベースで22億円、まだ17万台の管理に過ぎない」

――成長戦略をどのように考えていますか。
「8,016万台の自動車関連BPOの市場については、タイヤ保管、今後も増え続けるEVメンテナンス、そして2024年問題を抱える物流分野などで来年度以降、積極的に事業展開を図ってゆく。オートリース関連事業ではマイカーリース市場が大きく伸びており、ここでシェアを拡大していきたい」

「EVでは将来的に部品交換などが3割ほど減るといわれているが、点検・確認作業は必ず残る。大切なことは診断力を上げ、正規の部品をきちんと交換することだ。今後、メーカーとともに、EVの知見を蓄積し、車のユーザーだけでなく、アフターサービスを提供する側にも情報やサービスの提供を狙ってゆく。その基盤となるのが、整備工場と当社をつなぐDX(デジタルトランスフォーメーション)基盤「モビノワ」だ。昨年8月にスタートしたが、客送支援、EV整備や業務効率化に向けた教育支援などのサービスを順次広げてゆく」

「自動車関連BPOでは、現在、取引のある90社弱の取引先向けにいろいろなBPOの商品利用をしてもらえるよう領域の拡大も積極的に行っていきたい。具体的には自動車販売店やリース提供企業の「困りごと」への対応だ。例えば夏冬で交換したタイヤの保管について、倉庫・運搬・整備工場のワンストップできるサービス、宅配便などの「ラストワンマイル」で使用される商用車に対するサービスを考えている。この分野は軽自動車が多く、過酷な使われ方をする一方で、車両の管理に手が回りにくいなどの問題を抱えている。個人事業主が多いため、車の稼働率維持も重要で、現在「1日車検」の商品を開発中だ」

「新たな業務の仕組みを組み立てることで、サービスの幅を広げてゆく。創業から45年たつが、整備に対する基本的な考えは変わっていない。外から見て分かりにくい業態ゆえ、過剰なものは排除し、シンプルにやってゆく」

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