世界シェア上昇、収益改善を先取り
25日の東京市場では日経平均株価が小動きにとどまるなか、造船関連株が活況となった。
24日付レポートでゴールドマン・サックス(GS)が名村造船所(7014・S)について投資判断「買い」、目標株価3,700円でカバレッジを開始したことが刺激材料となり、他の関連株にも買いが広がった。
米国は追加関税、半導体規制など様々な分野で中国に対する規制を強めているが、国内の造船業復活を目的に、中国が運航する船舶と中国製船舶に対して追加の港湾使用料を導入することも発表済み。その一方、日本は関税協議の切り札として造船分野で米国と協力関係を強化することを目指している。また、6月に閣議決定された骨太の方針中期計画でも、日本の造船業を再生し、海運業や造船業を中核とする海事クラスターを強じん化する方針が示された。日米協力を含めた海事サプライチェーンの大幅な強じん化を図る。国策として造船業の強化を図ることが明示された。
GSでは「グローバルにおける日本造船業界の重要性の高まりを背景とした、売り上げ/収益性の持続的な改善ストーリーを株式市場は十分に織り込んでいない」との見解を示している。現在、グローバル新造船市場では中国の造船会社が世界シェアトップだが、米政府の対中規制での中国造船、非中国建造船の相対的なコスト競争力が向上し、市場シェアの観点で追い風として働くと分析。今後は新たな船舶の温室効果ガス排出規制の導入を背景に、燃費効率の高い新造船に置き換える需要がグローバルで継続すると想定、日本の造船業界でも単価上昇、市場シェアの拡大が進むとみる。
名村造船については2025年3月期~30年3月期の営業利益は年率11%で伸長すると予想している。同社株はストップ高(502円高の3,210円)まで買われ、16日の上場来高値を更新した。
日本の造船業が世界で存在感を強めていくシナリオを前提とするならば、他の関連株の商機も拡大する。造船では内海造船(7018・S)、船舶用ディーゼルエンジンではジャパンエンジン(6016・S)、ダイハツインフィニアース(6023・S)、阪神内燃機(6018・S)などをマーク。船舶用電子機器では古野電気(6814・P)、配電制御システムなどの寺崎電気産業(6637・S)など。船舶塗料では中国塗料(4617・P)、大型株では三菱重工(7011・P)、川崎重工(7012・P)、IHI(7013・P)の3社、三井E&S(7003・P)が中核となりそうだ。(M)