総合電機大手4社の決算が出そろった。4月25日に日立製作所(6501・P)、三菱電機(6503・P)、NEC(6701・P)が発表。富士通(6702・P)は24日に発表済みだが、トランプ関税で市場環境、景気見通しに不透明感が強いなか、各社とも安心感のある内容となった。
28日は日立が反落。ほぼ事前の予想に収まる内容だったことから、目先的な材料出尽くし感が広がった。ただ、決算と同時に発表された中期経営計画「inspire 2027」などを踏まえると、中期的な成長継続が期待できそうだ。
2026年3月期の売上収益は前期比3.2%増の10兆1,000億円、調整後営業利益は同3.4%増の1兆50億円を計画している。前提為替レートは1ドル=145円、1ユーロ=155円。26年3月期末までの期間で1億4,000万株・3,000億円を上限の自己株式の取得を発表したが、ほぼ市場予想通りの規模だった。
28年3月期を最終年度とする3年間の中計では売上高の年平均成長率を7~9%、調整後EBITAで13~15%とした。キャッシュフローの創出力を高め、株主還元と成長投資に充てる。Lumada事業の売上収益の占める比率を50%に、同事業の調整後EBITA率を18%に高める。収益のけん引役である同事業に関しては長期目標でそれぞれ80%、20%の目標を新たに打ち出した。実現に向けては送配電などのエネルギーシステム、鉄道システムを中心としたモビリティー、産業オートメーション、DX(デジタルトランスフォーメーション)の主力事業でAIを活用、導入し強力に推進する。
NECは大幅高となり、21日の年初来高値3,320円を一気に更新してきた。26年3月期は中計の最終年度に当たるが、好調な業績推移を受けて主要な目標数値を引き上げたことなどが評価された。
今期は売上収益が前期比1.9%減の3兆3,600億円、調整後営業利益が同8.0%増の3,100億円となる見込みだ。Non―GAAP営業利益(営業利益からM&A関連費用、構造改革関連費用、減損損失など一過性損益を控除したもので、同社では本源的な事業の業績を測る利益指標と位置づけている)は3,200億円と中計目標から200億円引き上げられた。今期計画について、野村証券では「様々なリスクを織り込んだ保守的な計画とみられ、決算の印象はポジティブ」とコメント。BluStellar事業も計画を上回って推移しており、市場の評価はさらに高まりそうだ。
三菱電機も堅調。26年3月期の営業利益は前期比9.7%増の4,300億円を計画。関税や為替の影響などのリスク要因を織り込んだうえで、市場コンセンサスを上回る水準だった。10月末までの期間で6,000万株・1,000億円を上限とする自己株式の取得を発表しており、需給面でも一定の安心感がある。(M)