豊田自動織機(6201・P)がザラバ値付かずのままストップ高比例配分(3,000円高の1万6,225円)。「トヨタ創業家が買収提案。非公開化の検討に入った」とする25日付ブルームバーグ報道を受けたものだ。創業家買収提案はセブン&アイの一件を想起させる。会社側リリースは「現時点で決定された事項はございません」としつつも、「非公開化などの様々な提案を受けている」「あらゆる可能性を検討」など事実上追認に近いニュアンス。報道では「一定のプレミアムをつけると、買収総額は6兆円規模となる可能性」を指摘。6兆円なら買付価格1万8,415円が意識される。前週末25日で決算発表を終えたトヨタ系主要7社では、愛知製鋼が一時17.0%高と2006年8月以来の高値に買われたほか、御大・トヨタ自動車も含め連想買いにグループ各社一斉高の様相となった。
豊田織機はグループ源流企業であり、保有するトヨタ株式の時価評価が自社の時価総額の4分の3近くに達するなど、いわば“トヨタの持ち株会社”的存在。バブル期には「日本現代企業」なる韓国・現代グループをにおわせる企業が大量買いに動いたことがあった。昨年にはアクティビストの英AVIが0.1%保有し、子会社アイチコーポレーションとの親子解消を求めた経緯もある。
子会社・投資先企業の急成長によって“資本のねじれ”が生じたケースとしては、かつてのニッポン放送とフジテレビジョン(現フジ・メディアHD)、富士通とファナックなどが挙げられる。現在でも、京成電鉄は保有OLC株の時価評価が1兆円を超えながら、自社の時価総額は7,000億円台にとどまる。他に三菱ケミカルグループの時価総額も保有する日本酸素株の価値をわずかに上回る程度。TBSHDもかつての子会社、東京エレクトロン株の時価評価が自社の時価総額の3分の1近くを占める。(K)