三菱電は30年度に6,000億円
米国のハイテク株高や円高一服などを受け、13日の日経平均株価は一時500円高となったが、引けは小幅安。トランプ政権は予告通り12日から鉄鋼・アルミ製品に対する25%の追加関税の発動に踏み切った。これに対し、EU(欧州連合)、カナダが報復措置を発表するなど、貿易戦争のエスカレートや各国の景気に対する悪影響に対する警戒は拭えないまま。除外措置を求めていた日本も対象に含まれる。
一方、需給面では一定の区切りがついたとの見方も。11日の取引時間中に日経平均は1,041円の大幅安となったが、投げ売り一巡により、前場後半から買い戻しが進み、大引けでは235円安まで下げ幅を縮めた。14日のメジャーSQ(特別清算指数)を通過すれば、主力銘柄の値動きが改善される展開も想定される。
こうしたなか、中長期的な視点から注目したいのが防衛関連だ。トランプ氏は大統領就任前から日本や欧州が米国の防衛政策にただ乗りしているとして、防衛費を増額すべきとの持論を展開してきた。実際のところ、ウクライナとロシアの停戦問題への米国の対応を受け、欧州は軍備増強に舵を切った。日本でも2027年度にGDPの2%という防衛予算枠を増額せざるを得ないとの見方が出ている。
三菱重工(7011・P)、川崎重工(7012・P)、IHI(7013・P)の重工3社に加え、各種の防衛設備を手掛ける総合電機も有望だ。防衛・宇宙関連に強い三菱電機(6503・P)は12日に防衛事業の説明会を開催し、市場の関心を集めた。防衛力強化の流れに乗り、同社の防衛事業の受注高は22年度の1,400億円から、24年度には6,000億円に急拡大している。当面の目標としては26年度に同事業の営業利益率10%を実現し、30年度に売上高で6,000億円以上、営業利益率10%以上を掲げている。
同社は安全保障で不可欠となっている宇宙領域に強く、レーダー、ミサイルなど大規模な防衛システムと衛星システムの双方にプライムコントラクター(一次請け)として関わっている。防衛の高度化に伴い、今後は一段と存在感を強めそうだ。週足の株価は上値抵抗線を抜けてきたばかり。
同じく宇宙領域などを含む防衛システムではNEC(6701・P)、防衛システム、通信機器などの富士通(6702・P)も押さえておきたい。両社はITサービスや市社会インフラの分野で成長が続くと期待される。日立製作所(6501・P)も艦艇・航空機などの搭載システム、通信システム、指揮統制、サイバーなどに強みを持つ。(M)