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銘柄・相場情報2023年3月17日

<ズームアップ> 「宇宙関連」で輝くスカパーJSAT 日本唯一かつアジア最大の民間衛星通信事業者 宇宙インフラ、データビジネスへ投資

宇宙開発“黄金期”の幕開けとされる2023年。世界が宇宙ビジネスに熱視線を送るなか、日本でも新興勢力や異業種からの新規参入が相次いでいる。

日本政府は昨年12月に宇宙基本計画工程表を改定し、今夏にも宇宙分野に関する安全保障構想を策定する見通し。株式市場においても「宇宙関連」はもはや夢物語ではなく、有望な投資テーマとして現実味が増し、物色熱が高まりつつある。

こうした中、黎明期よりビジネスを立ち上げ、“宇宙実業社”を標榜するスカパーJSATホールディングス(9412・P)の注目度が高まっている。株価は2月2日のザラバ安値465円を底に切り返しに転じ、調整を挟みながらも修復軌道を歩む展開。PER9倍台、PBR1倍割れの割安感も見直しの手掛かりとなろう。

有料多チャンネル放送サービス「スカパー!」で知られる同社だが、1989年に日本初の民間通信衛星「JCSAT―1」の打ち上げに成功して以来、アジア最大数となる約30機の静止衛星を打ち上げ、長きにわたり日本で宇宙ビジネスを牽引してきた。日本においては、衛星を保有し、通信サービスを提供する唯一無二の企業。実際の利益貢献度は宇宙事業が8割を超える(2022年3月期純利益ベース)。

宇宙事業は大きく①国内衛星ビジネス(災害対策、携帯バックホール回線、防衛・安全保障関連など)、②「スカパー!」放送事業者への回線提供、③主に海外の通信・放送事業者向けや航空・船舶向けに回線を提供するグローバル・モバイルビジネス――に分類される。先に発表した今23年3月期第3四半期(22年4~12月)決算では、ハイスループット衛星「JCSAT―1C」「Horizons 3e」の利用増加や円安の影響などからグローバル・モバイルビジネス分野が伸長。第4四半期も増収が継続するとみられる。

30年に向けては、宇宙事業の新技術の活用と事業領域拡大に1,500億円以上、メディア事業の新領域への進出に500億円以上の計2,000億円以上を投じ、当期純利益250億円超(23年計画は150億円)を目指す。さらに、今後5年間で配当+自社株買いで400億円の株主還元を行う方針を示すなど、積極的な株主還元姿勢も評価される。

このうち宇宙事業については、従来の静止衛星に加え、低軌道衛星やHAPS(高高度プラットフォーム)等を用いて、地域格差のない通信環境を提供するユニバーサルNTN(非地上系ネットワーク)の実現や、データビジネスなどによる成長を目指す。直近ではNTTドコモと成層圏下層から地上受信機への38GHzの電波伝搬実験に世界で初めて成功、さらにNTTとの合弁会社スペースコンパスが米通信企業スカイルームとEO(地球観測)市場向け光データリレー事業で提携するなど、宇宙事業ビジョンに向けた取り組みが着々と進展している。(SS)