5月16日(金)のマーケット
5月15日のNYダウは反発、ナスダックは反落。4月の卸売物価指数は前年同月比2.4%上昇。3月の3.4%上昇から鈍化し、市場予想の2.5%上昇も下回ったため、金利が低下し、NYダウは反発した。シューズ小売りのフットロッカーはスポーツ用品小売り大手ディックス・スポーティング・グッズが買収することで合意し急騰した。医療保険のユナイテッドヘルスは、メディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)に関連する不正行為の疑いで刑事捜査を受けていると報じられ急落した。エヌビディアとAMDは反落。NYダウは前日比271ドル(0.65%)高の42,322ドル。NASDAQ総合指数は前日比34ポイント(0.18%)安の19,112。S&P500指数は前日比24ポイント(0.41%)高の5,916。
翌週に日米財務相会談を控え、一時1ドル=145円割れの円高となり日経平均は一時276円安。だが取引開始前に発表された1~3月期GDPが前期比年率0.7%減で、4~6月期は関税でさらに悪化との観測があるため、7月の参院選を控え、消費税引き下げ議論の活発化期待で百貨店株が上昇し、日経平均は下げ渋り。14日にMSCI指数に採用が発表されたサンリオが買われ、海運株が堅調。テクノプロは非公開化検討観測報道でストップ高。半導体関連は安い。
スタンダード市場では、電算とヤマノが大幅増益継続予想でストップ高。ピアラは株主優待制度の導入でストップ高。児玉化学は2日連続ストップ高。日本精機は自社株買いの発表が好感された。シンシアは業績予想を上方修正したが材料出尽くし感から大幅安。やまやは株主優待の廃止で急落した。
グロース市場では、インフォネットとSmileが株主優待制度の新設でストップ高。FFRIが大幅続伸。GNIが反発。TalentXは8日続伸。エフコードは第1四半期が好決算で上昇。クリアルは1対5の株式分割で大幅高。プレイドは業績予想を上方修正したが材料出尽くし感で下落。
日足チャート上では十字足に近い陽線。200日移動平均線(3万7856円)には届かなかったが、下値も底堅く3万7500円近辺からは買い戻される展開となった。週足では長い上ヒゲを伴う十字足に近い陽線。6週連続の陽線となり、一時は3万8000円台乗せで26週移動平均線(3万7829円)や、一目均衡表の雲抜けとなる場面も見られた。来週以降、このレベルを維持できるか注目される。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。どれほどの出来事が起こったことでしょう。先週から今週にかけて世界が文字通りに激動といってもよい状態に陥りました。
中心はなんといってもアメリカと中国の間で通商交渉です。誰もが予想できなかったほど報復関税の引き下げがあっさりと実現しました。これによって世界中の株式市場が急上昇することとなりました。
米中間の貿易戦争のエスカレーションに歯止めがかかったことから、世界経済が腰折れする懸念が払拭され、そこから商社株や海運株の動きが特によくなっています。
日本ではその他にも、ニデックによる牧野フライス製作所への合意なき敵対的買収が裁判所の判断をきっかけに撤回されました。ニデックにとって一見すると悪材料にも見えますが、重荷を背負うこともなくなって株価はこれを好感する形で大きく上昇しています。
ソフトバンク傘下のPayPayはメイン銀行のみずほFGを袖にして、ライバルの三井住友カードと手を組むことになりました。
活況を呈する新興企業群では宇宙関連株が上昇の牽引役となっています。宇宙にはインフレも関税もありません。ispaceの月面探査機の着陸挑戦が迫っています。
マーケットはこれらの材料、ニュースをひとつずつ消化しています。
3月決算企業の決算発表も通過しました。ここからは業績相場の色彩が一段と強まりそうな気配です。
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注目記事 Pick up
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【「日経平均PER」10カ月ぶり高水準 膠着展開入りか】
日本証券新聞5月19日(月)紙面1面TOP記事掲載
業績選別重視がより求められる局面に
近年の暴落局面と現在を比較すると…。①2020年コロナ暴落は2月12日高値(2万3,861.21円)から3月19日安値(1万6,552.83円)までの30.6%安を経て、6月8日に下げ幅の「90.6%」を戻し、その後数カ月の膠着(こうちゃく)状態に入っていく。②昨夏の場合も、7月11日最高値(4万2,224.02円)から8月5日安値(3万1,458.42円)までの25.5%安を経て、10月10日に下げ幅の「78.5%」まで戻しての膠着相場入り。どちらも1カ月前後の急落と2カ月余の戻しを経て、といったパターンだ。さて、期間の取り方にもよるが、今回のトランプショックの起点を③3月26日高値(3万8,027.29円)とするなら、4月9日安値(3万1,714.03円)までの16.6%安を経て、既に13日で全値戻しを果たしている。下げも戻りも前2例よりも急だが、そろそろもみ合い相場に移行するタイミングとなろうか。
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今日の市況概況
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5月16日(金)☆[概況/大引け]
円高で序盤は売られたが、消費税引き下げ議論活発化期待で戻した
大引けの日経平均は1円安の3万7,753円、TOPIXは1ポイント高の2,740ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は859、下落銘柄数は705。出来高は19億5,178万株、売買代金は4兆4,706億円。
翌週に日米蔵相会談を控え、一時1ドル=145円割れの円高となり、日経平均は一時276円安となった。
だが取引開始前に発表された1~3月期GDPが前期比年率0.7%減で、4~6月期はトランプ関税でさらに悪化との観測があるため、7月の参院選を控え、消費税引き下げ議論の活発化期待が抱かれ、Jフロントリテイリング(3086)などの百貨店株が上昇。日経平均は前日終値水準に戻した。
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