5月30日(金)のマーケット
5月29日の米国株式市場は反発。米国際貿易裁判所がトランプ関税の一部に差し止め命令を出したことやエヌビディアが買われたことが寄与したが、NYダウは一時270ドル安となった場面があった。トランプ政権には関税を課す他の手段があるという見方も警戒された。ゴールドマン・サックスでは、通商法122条を根拠に最大15%の関税を150日間適用することや、同法301条に基づき調査を開始することが可能と指摘した。28日の国際貿易裁判所の命令に対して、連邦巡回控訴裁判所は29日に命令を一時的に延期し、少なくとも当面は関税を復活させた。NYダウは前日比117ドル(0.28%)高の42,215ドル。NASDAQ総合指数は前日比74ポイント(0.39%)高の19,175。S&P500指数は前日比23ポイント(0.40%)高の5,912。
米国で控訴審が「下級審によるトランプ関税の差し止め命令」を一時停止したため、日経平均は反落。半導体関連が売られ、ルネサスはEV用半導体断念で下落。リクルートやマツダも安い。一方、JCRファーマはサンバイオからの製造受託期待で大幅高。キッセイ薬品はジェフリーズが格上げ。中国が原発処理水の海洋放出で輸入を停止していた日本産水産物の再開手続きを受けて、ヨシムラフードが買われた。井関農機はコイン精米機が注目された。
スタンダード市場では、米国に対する経済安全保障分野の協力策として造船が提案されているため、名村造船やジャパンエンジンが買われた。リバーエレテックは業界トップクラスの低電圧駆動を実現する水晶発振器の出荷を開始しストップ高。エスクリは続落。ぷらっとホームは反落。
グロース市場では、データセクションが2日連続ストップ高。カラダノートは住友生命と資本業務提携でストップ高。ELEMENTSはグループ会社が証券業界の不正ログイン対策を強化する新プランの提供を開始し大幅高。サンバイオは出荷解除に向けた3回目の製造も適合したが利食い売り。
日足チャート上では上下にヒゲを伴う実体線の短い陽線。昨日の700円高からは反落となったが、200日移動平均線(3万7794円)上をキープ。5日移動平均線も上回っており、底堅さを確認する格好となった。今週は水曜日にパラボリックも陽転を示現しており、目先は上昇基調をうかがわせる。週足では長めの上ヒゲを伴う陽線。5月13日の高値にあと40円まで迫る場面もみられた。一目均衡表の雲抜けも示現し、26週移動平均線(3万7777円)も上抜いた。月足では、陽線となり3月の株価水準を回復して5月を終えた。4月の長い下ヒゲ部分が60ヵ月移動平均線にタッチして下値を確認した形となった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マーケットは一寸先が読めない状況が続いています。先週は米国のトランプ減税の延長法案の下院通過。それを契機とした財政赤字の拡大懸念による長期金利の上昇。
今週に入ってからは、EUに対する50%関税とその発動延期での合意。そして週後半には米国の国際貿易裁判所による関税差し止め請求、トランプ政権による控訴。朝、目が覚めてみると新しい事態が次々と起こっています。
それに伴って金利や為替の水準がコロコロと変わる、非常に目まぐるしい変化が起きています。そのような状況に対して、日本株は意外なほどの底堅さを見せています。
日経平均が一時的にも38,000円を突破してきたことは後々の相場展開に非常に意義のあることではないかと思います。
何よりも日本では、目の前で巨大企業の再編がいとも簡単に起こるようになっています。NTTドコモによる住SBIネット銀行へのTOB、その親会社であるNTTのSBホールディングスに対する資本参加。これなどは少し前であれば考えられないような素早い展開です。
三菱UFJ銀行は来年度にネット銀行に進出することになります。かつて威容を誇った巨大銀行、巨大企業がまるでスタートアップ企業のように機敏に動き出しています。
このような状況は、日本経済にとって明らかに次の大きな展開を期待させる動きと見ています。日経平均も今は上値が抑えられていますが、来週から始まる6月相場では新たな展開が待ち受けているように思えてなりません。
思わず年後半の本格的な上昇相場を期待してしまいます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
注目記事 Pick up
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【6月中にも1ドル=150円復帰か】
日本証券新聞6月2日(月)紙面1面TOP記事掲載
関税政策は円安後押し 当たり屋 東海東京 柴田秀樹氏
米トランプ政権誕生以来、円高傾向が続いている。市場ではこの流れは変わらないとの見方も強く、野村証券は29日付で「持続的な円高に対してどう対応するべきか」とのレポートを発表した。これに対して1ドル=110円台の頃から、円安をピタリと当てている東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、メディア向け勉強会で、「6月中にも150円台に乗せる可能性がある」と、再び円安に戻ると予測した。
トランプ政権の予想以上の関税政策やドル安円高志向もあり、4月には一時140円を割れたものの、その後は円はやや売りに転じている。柴田氏は「足元はドル安と円安の綱引き状態。一方に動かなくなっている」と分析する。
ドル安については、市場の一部にトランプ政権が「マールアラーゴ合意」と呼ばれる、1985年のプラザ合意のように各国が協調したドル安政策を推進するとの思惑が広がっている。プラザ合意の時と比べ、為替の取引量は10倍以上となっているうえ、同盟国に対して高い関税をかけている状態で、日欧がドル安に手を貸す筋合いは基本的にないという。このため、「トランプ政権がドル安に大きくかじを切ることはできない」とみる。
・・・続きは紙面・Digital版で!
今日の市況概況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5月30日(金)☆[概況/大引け]
MSCI指数のリバランスによる影響で大引けは再び下げた
大引けの日経平均は467円安の3万7,965円、TOPIXは10ポイント安の2,801ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は939、下落銘柄数は632。出来高は27億1,183万株、売買代金は6兆5,106億円。
米国で控訴審が「下級審によるトランプ関税の差し止め命令」を一時停止したため、30日の日経平均は反落した。
第4回目の日米関税交渉を控え、中国を念頭に置いた日米経済安全保障の連携強化が、関税圧力を和らげるという期待で後場は下げ幅を縮めたが、MSCI指数のリバランスによる影響で大引けではストンと下げた。
詳しくはコチラ