6月6日(金)のマーケット
6月5日のNYダウは続落、ナスダックは4日ぶりに反落。トランプ大統領が習近平国家主席と電話協議を行い、「両国にとって非常に前向きな結論となった」と自身のSNSに投稿したことを受けて、主要3指数は上昇したが、トランプ大統領がイーロン・マスク氏と非難の応酬となったことで下落した。マスク氏はトランプ減税法案について、財政を破綻させる「愚策」だと批判し、法案を「葬り去る」ため議員に働きかけて欲しいとXで呼び掛けた。トランプ大統領はマスク氏について法案が下院で可決されたため、電気自動車に対する補助金がほぼ打ち切りとなるため、「憤慨している」と指摘し、マスク氏との契約打ち切りが最も簡単な予算削減方法だと投稿した。それに対してマスク氏はランプ関税は今年後半に景気後退を引き起こすと批判した。テスラは大幅安。パランティア・テクノロジーズやコアウィーブ、コストコが売られた。オラクルとセールフォースは上昇。NYダウは前日比162ポイント(0.83%)高の19,298。S&P500指数は前日比31ポイント(0.53%)安の5,939。
米中首脳の電話協議で交渉進展が示唆され、日経平均は反発。イーロン・マスク氏がトランプ大統領との対立を鎮静化する姿勢を示したため買い戻しが入った場面も。防衛大手3社が反発。メルカリは大和証券が目標株価を引き上げ、臨床検査のBMLはみずほ証券が投資判断を引き上げた。トランプ大統領がマスク氏の企業に対する補助金を打ち切る姿勢を見せたため、テスラにバッテリーを供給していて米国政府から補助金を受けているパナソニックは売られた。
スタンダード市場では、エスサイエンスが続伸、コメ関連の木徳神糧は大幅反発。ハイレックスは上期決算で買われた。荷物用エレベーターの守谷輸送機は東海東京が目標株価を引き上げた。日本一ソフトは1月に付けた年初来高値を更新した。ソケッツは利食い売りに押された。日本アジア投資が安い。
グロース市場では、Zenmuが急騰。売れるネット広告は「TikTokSHOP運営代行サービス」で複数のEC企業と契約済みと発表したことで買われた。企業の自治体向けマーケティング支援のイシンがストップ高。ispaceは月面着陸失敗でストップ安。Synsも連想売り。
日足チャート上では、寄付き後が安値で高値圏での大引けとなる陽線。上値は重いものの、下値を切り上げる25日移動平均線(3万7510円)に沿った動きとなった。頭を抑えていた5日移動平均線(3万7592円)を上抜いて週末を迎えており、来週に期待をつないだ。週足では短い上ヒゲと長めの下ヒゲを伴う陽線。26週移動平均線(3万7725円)をクリアし、一目均衡表の雲抜けも目前に迫った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
鈴木一之です。6月になりました。月が替わるとマクロ経済統計が出始めます。
米国でも待たれていた景気動向のハードデータがそろい始めました。雇用動態調査(JOLTS)は4月分が発表され、予想を上回る強めの結果として注目されています。
この週末にはいよいよ5月の雇用統計が発表されます。前哨戦として発表されている他の雇用関係の経済データは少し弱めのものとなっているだけに、雇用統計の結果が何よりも注目されます。
しかしやはり冷静に見て、トランプ関税下での影響は甚大です。世界経済全体が下押しする圧力はかなり強いものと見られます。
ただしそれと同時に、トランプ関税の影に隠れていますが、それとはまったく別の次元で日本では大きな社会変化が進行しています。少子化は目を疑うほどの速度で進んでいます。社会インフラの老朽化はもはや待ったなしの状況にあり、夏の参院選を控えて今後は動きが強まってくると見られます。
朗報は、半導体関連の統計が少しずつ上向いている点です。鉱工業生産における電子部品・デバイスの在庫と出荷のバランスが改善しつつあります。DRAM価格の上昇も始まっており、ここが突破口となって新しい展開が開けるか、来週は正念場になりそうです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
注目記事 Pick up
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【トランプ関税が自動車産業を直撃 2025年度は減益】
日本証券新聞6月9日(月)紙面1面TOP記事掲載
大和、野村の企業業績予想 26年度は10%増益に AIは好調持続
主要企業の決算発表が終了してほぼひと月。大和証券、野村証券の大手2社が5日に2025~26年度の企業業績見通しを発表したが、トランプ関税の影響などを織り込み、前回見通しからは下方修正となった。
大和証券の集計(金融とソフトバンクグループを除く)では25年度の経常利益見通しが前年度比1.6%減と前回(2月25日集計)から8.6ポイント下方修正され、5期ぶりの減益見通しとなった。為替前提は1ドル=145円、1ユーロ=160円、原油価格は25年度が1バレル=60ドル、27年度70ドル。トランプ関税引き上げの影響が大きい自動車が大幅減額修正となり、自動車向けに部品や素材を供給する電機、鉄鋼、化学も減額修正に寄与、米関税引き上げによる輸送需要減少から貨物輸送も減額修正された。一方で内需はトランプ関税の直接的な悪影響を受けにくく、国内の高い賃上げ率などを背景に相対的に堅調が続く見通し。建設・住設、ITシステム、不動産などが増額に寄与している。
・・・続きは紙面・Digital版で!
今日の市況概況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
6月6日(金)☆[概況/大引け]
マスク氏がトランプ大統領との対立を鎮静化する姿勢を示し買い戻しも
大引けの日経平均は187円高の3万7,741円、TOPIXは12ポイント高の2,769ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は862、下落銘柄数は710。出来高は14億6,413万株、売買代金は3兆6,054億円。
米中首脳の電話協議で交渉進展が示唆され、日経平均は反発した。
イーロン・マスク氏が宇宙開発企業のスペースXの宇宙船「ドラゴン」の退役を取り消し、トランプ大統領との対立を鎮静化する姿勢を示したため買い戻しが入った。
詳しくはコチラ