12月12日(金)のマーケット
12月11日のNYダウとS&P500は最高値更新。ナスダックは3日ぶりに反落。週間の新規失業保険申請件数が23万6千件と、前週比4万4千件増加し、約4年半ぶりの大幅増となった。市場予想の22万件を上回った。そのため、FRBが利下げを継続するという見方もあった。ビザはバンク・オブ・アメリカが投資判断を引き上げたことで買われた。ファンダメンタルズの悪化がないものの、過去10年で最も安い相対評価の一つで取引されている。ステーブルコインの混乱や規制リスクに対する投資家の懸念が過剰だと解説した。イーライリリーは開発中の次世代肥満症治療薬「レタトルチド」について、投与量が最も多かった患者は、68週間で体重が23%余り減少したと発表したことで買われた。オラクルは大幅安。アルファベットやインテルが下落した。NYダウは前日比646ドル(1.34%)高の48,704ドル。NASDAQ総合指数は前日比60ポイント(0.25%)安の23,593。S&P500指数は前日比14ポイント(0.21%)高の6,901。
NYダウの最高値と年収の壁引き上げ論議を好感。三菱UFJやトヨタ、ファナック、パナソニック、信越化学が高い。銅市況上昇で住友鉱山。東京海上などの損保が上昇。ボーイングが2044年までに北東アジアで1500強の新造機が必要と説明したため、大阪チタニウムや東邦チタニウム、東レが高い。TSMCが熊本の2番目の工場の計画変更で稼働開始が遅れるという見方から製造装置の東京エレクや検査装置のアドバンテストは売られた。
スタンダード市場では、リバーエレテックがAIサーバー向け水晶発振器を発表しストップ高。トップカルチャーは今期が5期ぶりに営業黒字を見込んだことから大幅高。株主優待品がコメの昭和パックスはストップ高。ヒーハイストは続落となりストップ安。菊池製作所とRSCは信用取引規制で売られた。
グロース市場では、赤字縮小のかっこが2日連続ストップ高。オンコリスバイオファーマは、厚生労働省から医療機関における腫瘍溶解ウイルスの取り扱い条件が緩和されたためストップ高。3Dマトリックスは上期決算で買われた。タイミーは今期計画が市場の期待以下だったため売られた。
日足チャート上では、上ヒゲを伴う陽線。高値は5万1127円まで伸ばし、5日移動平均線(5万565円)を上抜いて週末を迎えた。週足では、長めの下ヒゲを伴う陽線。3週連続で上値下値共に切り上げており、掉尾の一振に向けて期待を持たせる形となった。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。今週は米国で今年最後の FOMC が開催されました。結果はすでに明らかになっていますが、3会合連続して FF レートの引き下げが決定しました。
結果の判明を真っ先に評価する木曜日の日本市場では、この決定を受けて株価はかなり大きめの下落となりました。テック株のオラクルの決算発表後の値動きが下げを増幅させた可能性があります。
その一方で当の米国市場では、NYダウ工業株が最高値を更新しており、今回の利下げをプラスに評価する声が強まっています。
景気の失速を未然に防ぐという安心感が効いており、短気では一段と株価を押し上げる効果が期待されます。あくまで短期での話なのでしょうが、日米で金融政策への評価がここまで分かれるのは意外です。
今回の利下げはあくまで景気後退リスクを抑えるための微調整という位置づけであり、今後のマクロ経済データ次第ではさらなる利下げ余地が広がる可能性があります。
日本でもごく短期的には株価は下落しましたが、このようなミスマッチは早晩解消され、下押し局面では再び買い意欲が戻ってくるでしょう。
2026年がまもなく始まります。どのような展開が待ち受けていようとも、来年も堅調な動きが続くと予想しています。
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注目記事 Pick up
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【利下げと金融規制緩和で米国バブル化も フィデリティ投信 重見吉徳マクロストラテジスト語る】
日本証券新聞 12月15日(月)紙面1面TOP記事掲載
いずれ来る「AI相場の終わり方」は…
毎年年の瀬になると「来年の展望」などをうたった証券関連各社のメディア向けセミナーが増えてくるが、いずれもおおむね似通った内容となりがち。結局誰にも分からない将来を一定の前提のもとで予測するのだから当然と言えば当然なのだが、だからこそ論者の構想力が問われてくる。その点、(昨年末にも紹介した)フィデリティ投信・重見吉徳マクロストラテジスト(写真)の話は独特であり、極めて斬新だ。11日に開催したメディア・ブリーフィングにおける発言の興味深い部分を以下のようにまとめた。
「日米株価のメインシナリオは『増益率並みの株価上昇』。アナリストによる世界経済見通しは平年並みの3%前後で、増益率は15%前後。何もなければ来年もそうした世界になるだろう。米国の企業は、ストックオプション費用や企業買収費用、リストラ費用、減損費用などを『一時的』として差し引いた調整EPS(1株利益)を公表し、アナリストもそれを前提に予想する。企業側がコントロールしやすい数字であり、よほどの需要落ち込みなどがなければ予想通りに進み、株価も右肩上がりを続けるという構造要因がある。割安・割高などとは無関係に機械的に買い続けるパッシブ資金の存在も大きい。そして米国株が上がれば日本株も上がる」
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今日の市況概況
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12月12日(金)☆[概況/大引け] 
年収の壁引き上げ協議に期待
大引けの日経平均は687円高の5万836円、TOPIXは66ポイント高の3,423ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,382、下落銘柄数は197。出来高は22億3,505万株、売買代金は6兆4,264億円。
前日の米国でNYダウが最高値を更新したことや、日本では自民党の小野寺税制調査会長が「年収の壁」をめぐり、178万円を目指して引き上げるとした国民民主党などとの合意を踏まえ、誠意を持って協議を進める考えを示したことが好感された。
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