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IPO2025年9月1日

新規上場紹介 オリオンビール 9月25日 プライム 沖縄の老舗ビールメーカー

オリオンビール(409A)が9月25日、東証プライムに新規上場する。

創業者の具志堅宗精氏は、太平洋戦争の終結から12年後の1957年、米軍の統治下にあった沖縄で「郷土の若者に勇気と希望を与えたい」と願い、沖縄ビールを創業。現在の社名である「オリオンビール」は59年に公募により選ばれた。オリオン座は南の島で沖縄のイメージにマッチし、星は人々の夢や憧れを象徴することを理由として採用された。その後、66年に初の海外展開となる台湾へのビール輸出、75年にホテルロイヤルオリオン開業、2014年にホテルオリオンモトブリゾート&スパ開業と事業を拡大してきた。

株式は創業者の親族を含む沖縄県民や企業などの株主が長期保有していたが、19年に持続的成長に向けて野村キャピタル・パートナーズおよび米カーライルの関連ファンドが株式公開買い付けを実施した。以降、「県外や海外にも販路を拡大し、上場を目指す」という方針のもと、“第二の創業”として経営改革に取り組んできた。上場前株主は上位から野村キャピタル・パートナーズ系ファンド(36.1%)、カーライル系ファンド(34.7%)、02年に資本業務提携したアサヒビール(9.2%)、24年に資本業務提携した近鉄GHD(9.2%)。

事業は酒類清涼飲料事業(売り上げ構成78.7%)、観光・ホテル事業(同21.3%)に分かれる。

酒類清涼飲料事業の主力商品は1960年に誕生した「オリオン・ザ・ドラフト」。沖縄の大麦、水を使用して製造し、温暖な気候に合わせたすっきりとした味わいが特徴。同商品をはじめとするビール類およびRTD(缶チューハイなど手軽に飲めるアルコール飲料)の販売先は台湾、オーストラリア、韓国、米国、香港、中国など海外にも広がっている。ほか、連結子会社の石川酒造場が泡盛、もろみ酢などを製造販売。EC(電子商取引)チャネルでの定番品やオリジナルグッズなどの販売や、同社ロゴなどをライセンサーに提供するブランドライセンスビジネスも行う。

観光・ホテル事業では、オリオンホテルモトブリゾート&スパ(客室数238室)の運営や、不動産賃貸(ホテルルートイン名護、商業施設の豊崎ライフスタイルセンターTOMITO)を行う。また、2025年7月に開業したテーマパーク「ジャングリア沖縄」へ土地を賃貸しているほか、同施設を運営する株式会社ジャパンエンターテイメントへ出資や取締役派遣を行っている。

マザーマーケットの沖縄県は米国のハワイ州に匹敵する年間約1,000万人が訪れるアジア有数の南国リゾート。今後も観光需要の増加による成長が見込まれている。中で同社は沖縄県内の飲食店約7,400店のうち5,800店にビールサーバーを設置。県内のビール販売シェアはアサヒビールのライセンス商品を含めると83.8%に上る。

配当は「配当性向50%」、「DOE(株主資本配当率)7.5%」のいずれか高い方で実施する方針。中長期目標として売上高(酒税抜き)年平均成長率約5%、ROE(自己資本利益率)約15%(前期10.8%)を目指す。(Q)

概要

●事業内容=酒類清涼飲料の製造・販売およびホテルなどの運営
●本社=沖縄県豊見城市字豊崎1-411
●代表者=村野一代表取締役社長兼執行役員社長CEO
●設立=1957年5月
●上場前資本金=3億7,825万円
●発行済み株式数=4,081万3,400株(上場時)
●筆頭株主=野村キャピタル・パートナーズ第一号投資事業有限責任組合(上場前36.16%)
●公募株式数=なし
●売出株式数=2,167万2,400株(ほかオーバーアロットメントで325万800株)
●仮条件=9月8日に決定
●ブックビル期間=9月9日~12日
●引受証券=野村、みずほ、SMBC日興(共同主幹事)、楽天、SBI、松井

業績推移(連結)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2024.3 26,009 2,818 85.25 43
2025.3 28,866 3,447 133.90 90
2026.3(予) 30,106 3,788 81.01 40
※単位100万円、1株利益・配当は円

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