サイプレス・ホールディングス(428A)が10月8日、スタンダードに新規上場する。
1994年設立で居酒屋「串えもん」、鮮魚居酒屋「魚屋源兵衛」などを開発してきたサイプレスが源流。2019年7月、成長最大化に向け、丸の内キャピタル(三菱商事100%出資)の出資によりサイプレス・HDが設立され、同年11月にサイプレス・HDがサイプレスを子会社化した。その後もM&Aを成長戦略の一つとすることからホールディング体制を維持している。
現在、海鮮料理がメインの「築地食堂源ちゃん」、炙り寿司がコンセプトのグルメ回転ずし「ABURI百貫」、持ち帰りの炭火焼鳥「銀座惣菜店」の3ブランドを主軸に計36ブランドを展開。店舗は東京23区を中心に東北から九州にかけて126店を直営方式で出店している(25年8月末時点)。うち、「築地食堂源ちゃん」が47店と全体の4割近くを占める。
強みは、幅広い顧客に受け入れられる高品質、かつ、リーズナブルな商品提供を実現する体制。新鮮な魚を提供できるように各市場から仕入れ、店舗に直送している。仕入れ商品はその日の漁獲量などに応じて変わり、仕入れ商品に応じて仕入れ本部・商品開発本部・各店舗が協働して日替わりメニューを考案している。
これらにより「築地食堂源ちゃん」で提供する海鮮丼や定食にはその日の市場で競り・買い付けた鮮魚が登場。また、「築地食堂源ちゃん」、「ABURI百貫」は海鮮が主力商品のため一定の仕入れ量を確保することでスケールメリットを発揮するとともに、仕入れ魚種に応じたメニュー作りにより仕入れ単価を抑制し、リーズナブルな価格での商品提供を実現している。なお、「築地食堂源ちゃん」の日替わりメニュー売り上げが全体売上高占める割合は15%程度。原価率は33.3%と同業他社と遜色ない水準となっている。
経営においては、出店の投資効率性を示すROIC(投下資本利益率)を重視。成長性を判断する指標として売上収益、売上収益成長の要素となる既存店売り上げ成長率、既存店客数成長率、既存店顧客単価成長率、新規出店数、累計店舗数、そして収益性を表す指標として売上原価率、人件費比率、地代家賃比率、EBITDAおよびEBITDAマージンを重要指標としている。中で既存店売り上げは24年6月期が11.6%増、25年6月期は第3四半期で6.4%増とプラス成長が続いている。
出店は今後も主力3ブランドを筆頭に、ショッピングセンター・郊外型店舗、都市複合型店舗をメインに継続する。(Q)
概要
●事業内容=飲食事業を営むグループ会社の経営管理およびこれに付帯する一切の業務
●本社=東京都港区六本木1-9-10
●代表者=東稔哉代表取締役社長
●設立=2019年7月
●上場前資本金=4,500万円
●発行済み株式数=1,274万4,600株(上場時)
●筆頭株主=丸の内キャピタル第二号投資事業有限責任組合(上場前47.23%)
●公募株式数=なし
●売出株式数=351万8,800株(ほかオーバーアロットメントで52万7,800株)
●仮条件=9月24日に決定
●ブックビル期間=9月24日~29日
●引受証券=大和(主幹事)、野村、SBI、マネックス、楽天
業績推移(連結)
売上収益 | 営業利益 | 1株利益 | 配当 | |
2023.8 | 8,816 | 336 | 1.36 | — |
2024.8 | 10,256 | 444 | 13.30 | — |
2025.8(予) | 11,234 | 734 | 32.19 | — |
※単位100万円、1株利益は円 |
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