ジェイファーマ(520A)が3月25日、グロースに新規上場する。
SLCトランスポーターに特化したバイオベンチャー。創業者である遠藤仁氏(杏林大学名誉教授)はトランスポーター(細胞膜輸送タンパク質)研究の第一人者で、これまでに12種類の新規トランスポーターを発見し特許化してきた。中でも、1988年に分子同定された必須アミノ酸トランスポーター「LAT1」は同社の創薬研究の中核をなす重要な創薬ターゲットであり、2005年の同社設立の契機にもなった。
SLCトランスポーターは細胞内外の物質を輸送する膜タンパク質の一種で、ブドウ糖、アミノ酸、イオンなどの体にとって重要な物質を細胞内に取り込む機能を果たしている。このうち、アミノ酸を細胞内に取り込むLAT1は健康な体では特定の場所の細胞にしか発現しないが、通常の細胞ががん化し、大量のアミノ酸を必要とすると高発現し、がん細胞の増殖に寄与することが分かっており、がんに対する新しい治療標的として注目されている。
同社はこの活性化を抑制するLAT1阻害剤を開発している。がん細胞のアミノ酸獲得を制限し、増殖を直接抑制する効果に加え、免疫細胞の抗腫瘍機能の回復を促す可能性が考えられており、実際に細胞・動物レベルで有効性が示され、同社の国内第1相/第2相臨床試験では胆道がん・大腸がんで有効性が示唆される結果が得られた。また、LAT1阻害剤の投与により、過剰活性化した免疫細胞からのサイトカイン産生が低減することが示されており、特に多発性硬化症のような神経炎症性疾患に対する新たな治療アプローチとなる可能性もある。
同社が臨床開発を進めている化合物は、ナンブランラト(JPH203)とJPH034の2剤。ナンブランラトは正常細胞に発現するLAT2には作用せず、LAT1を選択的に阻害する新規の低分子化合物。現在は胆道がんと大腸がんを対象とした開発を進めており、胆道がんについては米国FDAのレビュー下でグローバル第3相臨床試験を進めている。また、将来の適応拡大を見据え、希少疾患を対象とする非臨床試験にも着手している。
一方、JPH034は高い脳内移行性を有する点が特徴であり、中枢神経系の自己免疫疾患である再発を伴わない2次性進行型多発性硬化症やグリオーマを対象疾患とした開発を推進している。本剤は競争が極めて厳しく評価水準も高いことで知られる米国NMSS(多発性硬化症協会)の最先端研究開発支援プログラムに選出され、60万米ドルの補助金交付を受けているほか、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の創薬ベンチャーエコシステムにも採択され、IPOまで利用可能な最大20億円規模の補助金を確保している。
さらに、同社ではナンブランラト、JPH034に続く新たな成長ドライバーを確立すべく、Best―in―Class(ベストインクラス、特定のカテゴリ内で最も優れている)を目指す次世代LAT1阻害剤の創薬研究にも取り組んでおり、既に候補化合物を特定している。(SS)
概要
●事業内容=SLCトランスポーターをターゲットとした医薬品開発
●本社=東京都港区浜松町1-10-11
●代表者=吉武益広代表取締役社長
●設立=2005年12月
●上場前資本金=6億8,270万円
●発行済み株式数=1,782万9,610株(上場時)
●筆頭株主=JICベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合(上場前12.82%)
●公募株式数=324万株
●売出株式数=200万株(ほかにオーバーアロットメントで48万6,000株)
●仮条件=3月5日に決定
●ブックビル期間=3月6日から12日まで
●引受証券=SBI(主幹事)、大和、東海東京、東洋、松井、マネックス、楽天
業績推移(単独)
| 事業収益 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
| 2024.3 | ― | ▼1,640 | ― | ― |
| 2025.3 | ― | ▼1,527 | ― | ― |
| 2026.3(予) | ― | ▼2,891 | ― | ― |
| ※単位100万円、▼は損失 | ||||
