テラテクノロジー(483A)が12月23日、スタンダードに新規上場する。
企業や政府の基幹システム構築を主業務とするシステム開発会社(SIer)。事業は公共、通信、情報サービス、金融、製造その他の5分野に分けられ、とりわけ公共分野や通信分野で社会性の高いシステムを多く手掛ける。ソフトウェア開発はもとより、インフラ構築、システム稼働後の運用・保守を含めトータルにサービスを提供している。受注比率は大手ITベンダーや大手SIerが7割、直接取引が3割。近年は売上総利益率が高い直接契約の比率が上昇傾向にあり、収益力の向上に寄与している。
公共分野では2003年にデジタル・ガバメントの中心である電子申請システム開発の受注を開始し、法改正対応や各官公庁からの改善要望に合わせた開発実績を積み上げてきた。このほか、介護事業所からの給付費の請求受付システム、地方自治体向けの助成金申請システム、公営競技において使用する投票受付・紹介システム、各種金融機関と連携した購入・払戻システムなどの開発にも携わっている。
通信分野では、移動通信システムの進化(3G→4G→5G)に合わせたシステムの最新化対応や位置情報の通知・検索システム、IoTを駆使した貨物自動車の車載システムなど、通信キャリアにとって中核の技術要素による開発案件に携わったほか、法人向けのネットワーク構築サービスのカスタマコントロールシステム、各種提供サービスの基盤構築など、幅広い領域の開発を受託している。
情報サービス分野では、クラウドサービス事業者が提供するインフラ基盤の構築やシステム移行、大手出版社の記事レイアウトシステム、大手プロバイダの契約・請求管理システムなどの開発を継続的に受託しているほか、近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)化の加速を背景とした大手企業の投資案件を中心に受託範囲を拡大。大手EC(電子商取引)サイトシステムのリニューアル統合、大手百貨店のポイントサービス統合、大手配送会社の配送状況管理システムの大規模リニューアル、大手化粧品メーカーの顧客管理統合などを手掛けてきた。
金融分野では、銀行や証券会社のクラウドを活用したシステムの運用・保守、複数の業務を連携させるシステムの環境構築、銀行サーバーへのアクセス制限を強化する仕組みの設計など、バックオフィスシステムの保守を中心に受託。入出金の処理を行う勘定系システムよりも、発生した取引に基づき営業などの業務支援を行う情報系システムの開発を得意としている。
製造その他分野については、IoT技術を駆使した組み込み開発に強み。自社開発した中小企業向けビジネスチャットサービス「チャトコ」の展開なども行っている。
顧客のシステム開発は、まず初期システムを作り上げてリリースすることから始まり、その後、システムを運用しながら部分的に改良、そしてビジネスモデルの変化に合わせて次期システムへバージョンアップを行うという流れであり、このサイクルは平均3~4年ごとに繰り返される。この開発→運用・保守→時期開発という継続受注の循環が同社の安定経営の大きな要因であり、25年3月期における継続受注率は92.3%。引き続き5つの得意分野の継続と拡大に取り組むとともに、付加価値の高い案件の獲得により成長を目指す。(SS)
概要
●事業内容=システム開発事業
●本社=東京都豊島区東池袋3-4-3
●代表者=宮本一成代表取締役
●設立=1991年2月
●上場前資本金=2,000万円
●発行済み株式数=180万1,000株(上場時)
●筆頭株主=ネッツ(上場前52.19%)
●公募株式数=なし
●売出株式数=57万株(ほかにオーバーアロットメントで8万5,500株)
●仮条件=12月5日に決定
●ブックビル期間=12月9日から12月12日まで
●引受証券=SBI(主幹事)、岩井コスモ、岡三、むさし、松井、丸三、極東、Jトラストグローバル
業績推移(連結)
| 売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
| 2024.3 | 3,912 | 461 | 201.60 | 27 |
| 2025.3 | 4,387 | 520 | 229.85 | 69 |
| 2026.3 | 4,569 | 529 | 231.44 | 81 |
| ※単位100万円、1株利益・配当は円 | ||||
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