NSグループ(471A)が12月16日、プライムに新規上場する。
家賃債務保証事業を展開する日本セーフティー株式会社を中核とする持株会社。日本セーフティーが入居者の連帯保証人となり、賃借料が支払われなかった場合には同社が代位弁済し、後日、入居者から代位弁済した賃借料を回収する仕組み。家賃債務保証サービスに付随して、集金代行サービスも行っている。
物件管理戸数が相対的に少ない不動産管理会社と深い関係性を築くことで、独自のポジショニングを確立している。きめ細かい対応が求められる一方、競合他社との競争が比較的穏やかな領域であり、高い収益性の維持につながっている。
不動産管理会社は家賃債務保証会社の財務安定性、販売手数料、借主の信用リスクに応じて第一保証会社と第二保証会社を使い分けており、前者は販売手数料が高い保証会社が利用される傾向にある一方で、財務安定性が優先されやすい。これに対し、後者は販売手数料が低位な水準にあるものの、高い信用リスクを許容できる保証会社が利用される傾向がある。同社は管理戸数1,250戸以下のスモール領域において、第一保証については約10%、第二保証については約6%のシェアを占めている。
滞納情報や取扱店との連携情報など、競合他社には獲得困難な豊富なデータを創業以来蓄積してきており、これが参入障壁となっている。これらのデータをインプットしたAIモデルを各種業務に活用することでオペレーションを高度化し、模倣困難な競争優位性を築いている。審査業務においては「通過させるための審査」をコンセプトとしており、通過率は業界最高水準。
一般的に幅広い入居者に家賃債務保証サービスを提供する場合、それを支える回収率を維持する必要があるが、同社はデータマネジメントによって体系的で詳細な審査フローを設けることで、回収リスクを高めることなく、審査通過率を低下させない入居審査が可能となっている。また、回収業務においては蓄積した滞納実績データを活用して賃借人の滞納状況を複数に分類し、適材の人材・チームで回収対応に当たることで高い回収率を実現している。
さらに高リスク層の審査を通過させながらも高い回収率を維持するために、回収チームの1人当たりの債権数管理、事業用専任の回収チームの設営、スコアリングを基にした回収優先先の選定、長期・退去済債権に対する弁護士への回収業務委任を行っている。滞納防止のKPIを設定し、日々モニタリングを実施することで滞納の発生を未然に防止することにも注力している。
住居用保証では単身世帯・外国人世帯の増加を背景に市場拡大が続いている。事業用保証はいまだ未成熟の市場であり、コロナ禍後の事業環境の変化も受けて、中堅・中小の不動産管理会社を中心に急速に普及が拡大している。底堅い需要が存在する住居用保証での安定的な収益拡大を図りつつ、発展途上であり高い成長性を有する事業用保証、また豊富な顧客データを活用した新規事業を推進し、新たな収益の柱とすることを目指す。(SS)
概要
●事業内容=家賃債務保証事業を展開する子会社の経営管理など
●本社=大阪府大阪市北区中之島3-3-3
●代表者=大塚孝之代表取締役社長
●設立=2021年8月
●上場前資本金=1億円
●発行済み株式数=5,215万5,600株(上場時)
●筆頭株主=BVアセット(上場前41.59%)
●公募株式数=なし
●売出株式数=2,312万9,900株(内訳は国内1,648万株、海外664万9,900株を予定)、ほかにオーバーアロットメントで346万9,400株
●仮条件=12月1日に決定
●ブックビル期間=12月2日から12月5日まで
●引受証券=SMBC日興、大和、JPモルガン(共同主幹事)、野村、SBI、岩井コスモ
業績推移(連結)
| 営業収益 | 営業利益 | 1株利益 | 配当 | |
| 2023.12 | 23,902 | 7,850 | 97.90 | ― |
| 2024.12 | 26,348 | 8,818 | 108.92 | ― |
| 2025.12 | 29,814 | 9,240 | 109.53 | 32.68 |
| ※単位100万円、1株利益・配当は円 | ||||
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