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IPO2024年1月12日

新規上場紹介 Veritas In Silico(ウェリタス イン シリコ) 2月8日 グロース mRNAを対象とした創薬プラットフォーム

Veritas In Silico(130A・G)が2月8日、グロースに新規上場する。

次世代創薬の本命の一つとして期待されるmRNA(メッセンジャーRNA)標的低分子医薬品の創出に取り組む。自社で少数のパイプラインを保有する“パイプライン型”のビジネスではなく、独自の創薬プラットフォーム「ibVIS」を活用し、複数の製薬会社と共同で創薬研究を行う“プラットフォーム型”のビジネスを展開している。

疾患発症のメカニズムは様々だが、主に原因となるタンパク質(疾患関連タンパク質)の異常な動きによって引き起こされる。現在の医薬品市場は、疾患関連タンパク質に直接結合して機能を制御することで異常な動きを止める低分子医薬品、抗体医薬品などが主流となっている。

mRNAとは、DNAから特定のたんぱく質に関する遺伝情報を書き写した設計図のこと。mRNAは精密な構造の解析を行うことが困難で、低分子創薬において重要なターゲット探索(鍵穴の探索)とスクリーニング(鍵候補を見つけるプロセス)は難しいとされてきた。同社は独自のインシリコRNA構造解析と独自改良したスクリーニング法を確立。mRNA標的低分子創薬に必要な創薬技術とデジタル技術を一つの創薬システムとして統合した。

ibVISプラットフォームは多種多様な疾患に適応可能。これまで同プラットフォームでmRNA標的低分子創薬を実施したいと開示を受けた創薬対象遺伝子は100を超える。中でも市場の大きいがん領域の割合が突出しており、次いで血液脳関門を通過する必要のある中枢神経疾患、各種希少疾患の順に続く。なお、ターゲット探索の達成率は約97%、スクリーニングは約98%と非常に高い。

製薬会社との契約では、契約一時金、研究支援金にとどまらず、マイルストーン、ロイヤリティなどの対価を規定することにより、契約締結直後から長期的かつ継続した事業収益の確保を目指す。なお、昨年11月末現在において、同社とパートナーとの共同創薬研究は全て創薬研究段階であり、パートナーが単独で実施する開発・製造・販売にまで進んだ実績はまだない。

今後、mRNA標的低分子創薬の潜在的な市場シェアをある程度確保した後は、自社でパイプラインの開発も進めるハイブリッド型ビジネスへの転換を計画している。現在、社内研究を進めているがんや希少疾患領域を対象としたプロジェクトや、新規の核酸医薬品のプロジェクトなどが自社パイプラインの有力候補。

まずは現在のプラットフォーム型ビジネスでパートナー数を増やし、パートナーから中長期的に充分な収益が見込めるようになった段階(会社側は2026年ごろを想定)で自社パイプラインの開発を開始することを目指すが、当面は開発の早い段階で製薬会社にライセンスアウトする方針。(SS)

概要

●事業内容=mRNAを標的とする低分子創薬および核酸創薬のプラットフォーム事業
●本社=東京都品川区西五反田1-11-1
●代表者=中村慎吾代表取締役社長
●設立=2016年11月
●上場前資本金=9,000万円
●発行済み株式数=630万1,314株(上場時)
●筆頭株主=中村慎吾(上場前23.33%)
●公募株式数=80万株
●売出株式数=オーバーアロットメントで12万株
●仮条件=1月23日に決定
●ブックビル期間=1月24日から30日まで
●引受証券=みずほ(主幹事)、SMBC日興、三菱UFJモルガン・スタンレー、楽天、松井、あかつき

業績推移(単独)

事業収益 経常利益 1株利益 配当
2021.12 59 ▼240
2022.12 178 ▼138
2023.12(予) 359 34 5.67
※単位100万円、1株利益は円。▼は損失

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