手指消毒が日常化されてもうすぐ1年。冬の乾燥にハンドクリームを塗布した次の瞬間、アルコール消毒、念入りな手洗い、そして再度ハンドクリーム……その繰り返しにうんざりし、無精をした結果、比較的肌の強い私の手も、爪が割れ、ささくれが多発するという緊急事態に突入しました。

薬剤師の友人に相談すると、既に潤いも補給しながら消毒するハンドクリームが商品化されているとのこと。その足でドラッグストアに向かうと、店先のPOPに大きく「消毒できるハンドクリーム」としてゼリア新薬(4559)の『マジックハンドクリーム』が陳列されていました。配合されたベンゼトニウム塩化物が皮膚を消毒し、効果は約4時間。更に保湿作用のあるコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、スクワランが配合されており、しっとりとした使用感も特徴とのこと。同じ棚には『手も洗えるハンドクリーム』として小林製薬(4967)の『うるるテクト 消毒できるハンドミルク』ほか、類似商品が並んでいました。

やはり一定数ニーズがあるのだなと思い調べてみると、驚くべきことにマジックハンドクリームはコロナ騒動約1年前に発売されており、逆にうるるテクトは、小林製薬の平均的な開発スピード13カ月に対し約半年という怒涛(どとう)のスピードで昨年秋に商品化されていました。

世界のハンドクリーム市場は2019年に3億3,620万ドルと評価され、27年までに6億5,560万ドルに達すると予測されるなど、世界的に急速な成長傾向を示している中で、ニューノーマル(新常態)時代に誕生した「消毒ハンドクリーム」は今後も定着していくのか。現存商品の売り上げとともに他メーカーの商品開発に注目しています。