16日、イタリアンレストランチェーンのサイゼリヤ(7581・P)がストップ高を記録しました。背景にあるのは、15日に発表された2026年8月期の連結業績予想が、最終利益で前期比11.1%増となる過去最高益の更新を見込んだことです。

この好業績見通しは、同社が外食セクターにおける優等生として、国内市場の成熟と人件費高騰という逆風下でも成長を続ける、確固たる戦略を持っていることを証明しています。サイゼリヤの強みは、徹底したグローバル調達とセントラルキッチンによる効率化を軸に、価格競争力を維持しつつ、高品質なメニューを提供できる点にあります。この圧倒的なコストパフォーマンスこそが、デフレマインドが根強い国内だけでなく、急速に中間層が拡大するアジア市場で強力な武器となっています。

今回の業績予想で、市場が最も高く評価したのが、成長のけん引役となる海外事業の積極的な出店戦略です。今期、国内で20店の純増を計画する一方、海外ではその約4倍にあたる77店の純増を計画しており、海外事業が既に同社の成長エンジンとして完全に機能し始めていることが明確になりました。国内で築いた強固な経営基盤を生かし、海外でも低価格高品質を維持することで、既存市場の安定と新規市場の成長という両輪駆動を実現しています。

成熟市場の課題を乗り越え、グローバルな成長機会を捉える外食企業の成功事例としての地位を確立しつつあるサイゼリヤ。今後の海外出店加速の動向とともに、「低価格・高効率」戦略がどこまで世界を席巻するのか、その成長本流に注目しています。