24日の日経平均は907.92円の大幅続伸。と言ってもまだ、3月22日最高値から4月19日安値までの“押し幅3分の1戻しライン”(3万8,341.71円、終値ベース)に達してきたに過ぎない。このまま本格反騰に向かうには、日米主要企業の決算発表や日米金融会合などまだまだ越えねばならないイベントが多数控えている。特に、間近に迫るのが25~26日の日銀金融政策決定会合だ。
もちろん、前回3月18~19日の会合で、①マイナス金利解除②イールドカーブコントロール撤廃③ETF買い入れ終了――など大規模な政策変更(異次元緩和の幕引き)に踏み切ったばかり。連続利上げといった可能性は、ほぼないとみてよさそう。
ただし、足元で再び34年ぶり水準となった円安を受けてのプレッシャーが強まるなか(1ドル=151円台だった3月27日に財務省、金融庁、日銀の三者会合が開催された)、「結局、日銀が何らかのタカ派スタンスを示さざるを得ない環境に追い込まれている」(SMBC日興証券)とみる向きは少なくない。実際、植田和男総裁が先の朝日新聞インタビューで「夏から秋にかけて物価目標達成の可能性がどんどん高まっていく」「達成の確度が高まれば利上げを検討する」と発言するなど、このところタカ派的な姿勢が目立つ。日銀出身の楽天証券経済研究所・愛宕伸康チーフエコノミストは、「それで市場が『利上げ前倒しがあるかも』と受け取ってくれるなら筋論にかかわらず有効な口先介入になる」と深読みしている。
今回の会合で注目されるのは何か。3月会合の声明文で、これまでと同程度の国債購入を続ける方針を示した際、あえて脚注で「足元の月間買い入れ額は6兆円程度」と金額面に言及したが、この脚注を外す可能性が指摘されている。買い入れをフェードアウトしていく布石というわけだ。実施した場合は、「日銀のバランスシート縮小を意味するため、長期金利上昇や若干の円高・ドル安につながる」(第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミスト)とみられている。
同時に公表される「展望レポ―ト」における今年度物価見通しが1月時点の2.4%上昇から上方修正されるかも焦点。また、もちろん会合後の植田総裁会見で、10月頃が有力とされる利上げ時期の前倒しの可否を探ることになりそう。SMBC日興証券金融ストラテジストの23日付海外出張報告では、「米国の投資家が比較的早期の2回目の利上げを見込んでいた」ともされる。
実際に、タカ派色の強い内容となった場合には、長期金利上昇から銀行株高の一方、相場全体には短期的にマイナスに作用するとみられるが、前出の愛宕氏はレポートで、異次元緩和の期間を除けば1990年以降、「おおむね長期金利と日経平均が同方向に動いている」「長期金利の上昇が株価下落要因ではないことが統計的にも確認できる」などとしていた。
近年の日銀会合(2日目)当日と、その後4日間の日経平均 | ||||
開催日 | 日経平均騰落 | 一致 | 備考 | |
当日 | その後4日間 | |||
【2022年】 | ||||
12月20日(火) | ▼669.61円 | ▼162.16円 | ☆ | YCC上限、「±0.5%程度」に拡大 |
【2023年】 | ||||
1月18日(水) | △652.44円 | △508.07円 | ☆ | |
3月10日(金) | ▼479.18円 | ▼1333.36円 | ☆ | 黒田東彦前総裁、最後の会合 |
4月28日(金) | △398.76円 | △383.38円 | ☆ | 植田和男総裁就任後の初会合 |
6月16日(金) | △220.59円 | ▼441.20円 | × | |
7月28日(金) | ▼131.93円 | ▼597.95円 | ☆ | YCC上限の±0.5%を「目途」に |
9月22日(金) | ▼168.62円 | ▼529.89円 | ☆ | |
10月31日(火) | △161.89円 | △1412.97円 | ☆ | 念のため、「±1.0%程度」を上限に |
12月19日(火) | △460.41円 | △34.64円 | ☆ | |
【2024年】 | ||||
1月23日(火) | ▼29.38円 | ▼490.63円 | ☆ | |
3月19日(火) | △263.16円 | △394.43円 | ☆ | マイナス金利解除、YCC撤廃など |
4月26日(金) | ?円 | ?円 | ? |
そして、もう1つ注目したいのが表に示したアノマリー。「日銀会合2日目」(今回は26日)の日経平均騰落と「その後4日間」(同4月30日~5月7日)の騰落が一致するというものだ(2022年12月以降11会合中10会合で一致)。週末26日、昼過ぎ頃の会合内容判明を受けても高く終わるようなら、その後しばらくは強気スタンスが効くことになりそうだ。(K)