国土強靭化の政府目標を追い風にさらなる成長へ
人材派遣、業務請負、人材紹介を主軸に国内外で幅広い人材ビジネスを展開しているウィルグループ(6089・P)。少子高齢化に伴う慢性的な人手不足や多数の競合がひしめき合う厳しい経営環境の中で業績を伸ばしている。国内では販売、コールセンター、工場、介護施設、建設技術者等カテゴリーに特化し、海外ではシンガポール、オーストラリアを中心に政府、行政向けに強み。今期が最終年度にあたる中期経営計画の進捗状況は、一部の指標で既に目標を達成するなど好調を加速している。現状と今後の展開を角裕一社長に聞いた。
――2026年3月期第3四半期(累計)の業績が好調だった要因は。
角 好調だった第2四半期の勢いを受けて売上収益は1,086億2,700万円(前年同期比3.1%増)、営業利益は28億5,200万円(同59.2%増)と大幅な増益。営業利益が大幅に増えた要因は、現中期経営計画で最も力を入れている建設技術者領域や正社員派遣、外国人雇用支援などの重点戦略が順調に拡大、海外Working事業の販管費抑制が奏功し、また人材派遣業、人材紹介業ともに売り上げが前年同期を上回りました。
――今期は現中計の最終年度にあたりますが進捗状況は。
角 売上総利益は239億5,800万円で、売上総利益率は前年同期と比べて1.1%アップして22.1%となりました。現中計の最大の狙いは売上総利益でした。営業利益や営業利益率も重要ですが持続的な成長を維持するには稼ぐ力を示す売上総利益が最も重要です。そのため建設技術者領域や正社員派遣、外国人雇用支援など、収益性の高い事業を中計では重要指標とし、事業ポートフォリオの比率を高めました。その取り組みが功を奏した結果と言えます。通期の業績予想に対する3Q累計までの進捗状況は売上収益で76%、営業利益は92%で、親会社の所有者に帰属する当期利益は99%と非常に順調です。利益については、上振れ観測はあるものの、業績予想修正基準の範囲内を想定しているため、通期業績予想は据え置いています。
――競合も多い建設技術者領域が伸びている理由は。
角 他社と比較すると多くの人材を採用できていること、積極的に女性採用を行い、女性も建設現場で活躍できていることです。当社は18年ごろから建設会社へ男性と同様に女性の採用をお願いして今では200人以上が頑張っています。大半が施工管理補助業務で、多くの人は施工管理技士を目指しています。施工管理技士は工期管理、品質管理、安全管理、コスト管理までマルチタスク能力が求められます。また、元請け会社や協力会社、職人さんとのコミュニケーション能力も必要となります。建設業は男性のイメージが強いですが、施工管理技士は女性でもしっかりと活躍できるのです。
――主力の建設技術者領域の需要見通しは。
角 今も圧倒的に供給が足りない状況ですが、高市政権が掲げた重点投資対象17項目に国土強靱(きょうじん)化があり需要は増えるでしょう。
――外国人雇用はどうですか。
角 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)エンジニアや施工管理の補助業務として200人弱が活躍しています。ベトナムが一番多くてあとはミャンマー、モンゴル、インドネシアなどです。当社は特定技能や技能実習ビザではなく、主に「技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザ」で社員として採用しています。他にもベトナムやモンゴルなどでは現地の工科系大学と連携し建設を学んできた学生たちを採用しています。
――株主還元策は。
角 今期の配当予想は前期実績の1株あたり44円を据え置き、総還元性向は50.8%の見通しです。また株主優待は、新たに設立した「ウィルグループ ・プレミアム優待倶楽部」を通じて金券、電子マネー、ポイントなどと交換可能な株主優待ポイントを提供する形にしました。
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