独自のオムニチャネルが好業績に弾み
1920年に包装材料の卸問屋として創業されたシモジマ(7482・P)は商品開発力に定評があり、既製品を中心に100万を超える膨大な商品を取り扱う業界のリーディングカンパニー。販売は営業部隊と店舗網にEC(電子商取引)を掛け合わせた独自のオムニチャネルを構築して業容を拡大してきた。コロナ禍で業績が停滞した時期を乗り越えて、現在は外食の復活や食料品の宅配サービスの急成長、加えてインバウンドの増加などで追い風が吹いている。今後の戦略を笠井義彦社長に聞いた。
――事業内容は。
「主な取り扱い製品は紙袋や包装紙などの紙製品、ポリ袋や食品容器などの化成品包装資材、そして文具などの店舗用品の3本柱。創業からしばらくは卸問屋だったが、昭和30年代に入ってから紙袋の製造販売を開始、昭和から平成にかけては透明なOPP袋『クリスタルパック』が大ヒットするなど卸売とメーカーの両機能を持っているのが特長」
「商品の企画開発から生産、販売まで一気通貫で行っており販売は全国16カ所の営業所と22カ所の『シモジマ』店舗(east side tokyo含む)に加え、『パッケージプラザ』として直営・FCを含め240カ所の店舗網がある」
「物流機能については栃木県と埼玉県、そして大阪府に配送センターがあり、全国を網羅している。そしてさらなる物流機能の強化を図るため、2028年に兵庫県に新たな配送センターを建設する予定」
――競合も多いと思いますが強みは。
「既製品の数が圧倒的に多い。これだけそろえられる会社は他に見当たらない。販売チャネルは営業・店舗販売に加えてECがあり、これらのオムニチャネルが連動しながら機能している。ECは全体の売上高の10%を超えるまで伸びており26年3月末までに『シモジマオンラインショップ』への登録商品数を100万点に、登録会員数を100万人にする『100万×100万プロジェクト』の目標を掲げた。登録商品数は既に130万点(25年3月末現在)を超えて目標を2年前倒しで達成、今は登録会員数88万人(同)の拡大を目指している」
――成長が鈍化した時期もあるようですが。
「コロナ禍で実店舗へ来店者が減ったことに加え物流、システム関連投資が増えて一時期、業績が低空飛行の期間があった。しかしオムニチャネルを推進するために、より効率的な組織構造へと改編し業績が上向いている」
――環境対応の施策は。
「環境配慮型商品への取り組みについてはリーディングカンパニーだと自負している。再生紙、バイオマス配合などの商品開発を強化しており、2030年までに既製品の環境配慮型商品販売比率を20%にする計画だ。またリサイクル関連では阪神甲子園球場で使用している飲料カップを回収し、また長崎県の平戸では廃棄される漁網を回収してごみ袋にしたり、広島ではカキ殻の再資源化を検討している。さらに当社とコラボする企業と一緒に、使用済み段ボールを回収し、再資源化するクローズドリサイクルも推進している」
――株主還元についてDOE(連結株主資本配当率)を新たな指標とした配当方針に変えた理由は。
「これまでは配当性向50%をめどとしてきたが、それでは直近の利益水準によって配当が変わってしまう。そこで継続的かつ安定的な配当を行うために配当性向50%またはDOE3%以上を目指して配当金額を決める方針に変更した。万一利益が落ちても配当性向50%より少なくなることはない。株主さまに安心して長期保有していただくことが目的だ」