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インタビュー2021年5月6日

トップインタビュー ショーケース 永田豊志代表取締役社長に聞く

手続き・取引のオンライン化を支援

「オンライン本人確認」が新しい成長の柱に

ショーケース(3909)は2019年に経営体制を刷新し、第2創業をスタートした。足元ではAI搭載型OCR(光学式文字読取認識)サービスを展開するAI inside(4488・東マ)との資本業務提携も注目されている。ショーケースの永田豊志代表取締役社長=写真=に今後の成長戦略を聞いた。

●新生・ショーケースについて
『企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス』を事業コンセプトに掲げている。Webマーケティング分野で10年以上にわたって蓄積してきたSaaS(サービスとしてのソフトウエア)の構築・運用の知見をもとに、企業が簡単かつ低コストでDX(デジタルトランスフォーメーション)を始められるプラットフォームを展開していこうとしている。

オンライン取引・非対面取引の多くは、情報をWebサイトに入力し、その情報を安心・安全に取り扱うための機能が必要とされる。従来は個社の依頼に応じたシステム開発が一般的だったが、当社は誰でも導入できる汎用性の高いソリューションを提供することで企業のDXを支援するポジションを目指している。

●本人確認のすそ野は広大
昨今は“オンライン本人確認”がセキュリティー対策の大きなトレンドになっている。当社は新たな成長の柱としてeKYC(オンライン本人確認)サービスに力を入れており、スマートフォンで撮影した本人確認書類と本人容ぼうなどの写真をAIで照合し、本人確認作業を完了できるといったサービスを昨年からサブスクリプション(継続従量課金)形式で展開している。

大手ネット銀行やクレジットカード決済事業者、暗号通貨取引所など様々な金融機関に導入いただいているが、われわれが想定していた以上にオンライン本人確認のすそ野は広い。例えば司法書士事務所のように本人に代わって委任を受けて業務を行う場合や、不動産契約の重要事項説明、EC(電子商取引)サイトにおける高額商品の売買、リサイクルショップをはじめとする古物商など。また、最近は大学の授業やビジネスの会合、研究発表会がオンライン化したことで、アクセスしているユーザーの本人確認というニーズでも利用されつつある。

顔認証以外にも様々な本人確認方法がある。プライバシー保護の観点から被保険者記号・番号の告知要求を制限する「告知要求制限」が設けられたことに伴い、今年3月には新サービスとして保険証の自動マスキングサービスをリリースした。ほかにも、今期はオンライン手続きに関連するセキュリティーサービスを積極的に発表していく予定だ。

●AI insideとの資本業務提携
共同開発の第1弾として、Webフォームと紙帳票の入力ワークフローを統合し、データの流れを効率化する「Digital Input α」を4月30日にサービスローンチする。当サービスはAI insideの「Workflows」上で利用でき、Webフォームには当社がこれまで培ってきた入力フォーム最適化技術やUI/UXの改善のノウハウが活用されている。

今後は正式リリースを視野に入れた共同開発を進めるとともに、「Workflows」を通じて各種オンライン手続きに必要となる様々なアプリケーションを提供し、両社のさらなる顧客獲得・事業拡大を目指す。調達資金は新商品の開発やプロモーション、シナジーのある事業のM&Aなどに充てていく予定。

●今期の戦略
前下期に営業活動をすべてデジタルに切り替えた成果により、今12月期は非常に良いスタートを切っている。eKYCサービスは昨年に口座不正利用問題や銀行システムのトラブルが相次いだことを背景にニーズが急増しており、前期よりも速いスピードで導入を増やしていけそうだ。

昨年から個社ごとのDX支援開発を行う新事業を始めた。プラップジャパンとの合弁会社プラップノードから広報PR業務を自動化する「PRオートメーション」をリリースし、既に大手企業を中心に100社ほどに導入いただいている。また、横浜銀行にローンにおける契約内容確認手続きをDX化するシステムを導入。ローンの申し込みから実行に至るまでの歩留まりを大幅に改善できると好評を得ており、今後、ほかの地方銀行などにも横展開していく。

今期の業績予想はレンジ方式で開示。eKYCサービスの伸長とDX支援開発事業の貢献により、売上高は16億5,000万円~20億円(前期比7.8%増~30.7%増)の成長を見込む。(SS)