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インタビュー2020年3月16日

トップインタビュー テクノスジャパン 代表取締役社長 吉岡隆氏 独自の協創プラットフォームを提供

「ERP×CRM×CBP」でDXを推進

テクノスジャパン
代表取締役社長
吉岡隆氏

テクノスジャパン(3666)は、ERP(経営統合管理システム)関連システムの導入支援と、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーン技術などの活用を含めたデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を柱にビジネスを展開している。企業のDXを推進するための協創コミュニティ「テクノスジャパン・イノベーション・ブリッジ」を1月末に発足させるなどDX事業に積極的に取り組んでいる。代表取締役社長の吉岡隆氏に話を聞いた。

――強みを持つ基幹システムからお聞きします。

「独SAP社のERPは、当社の設立(1994年)間もないころから手掛けている主軸製品。『2025年の崖』と表現されたSAP社の旧来型のサポート終了は27年に延長となったが、サポート終了は当社にとって大きなビジネスチャンス。新型の「SAP S/4HANA」への切り替えニーズへの対応とともに、CRM(顧客関係管理)との連携を含めたトータルソリューションを提供していく」

「2018年6月にはCRMのセールスフォース・ドットコムの上位パートナーである米国のLirik社を買収した。北米市場におけるクラウドインテグレーション事業の本格化に向けた準備を進めているほか、国内市場へのサービス開拓を加速させていく。技術力、組織力強化のため、Lirik社が拠点を置く北米、インドとの人材交流を進めている。また、今年1月にはセールスフォース・ドットコムのクラウド関連サービスとERP関連サービスを軸にビジネスを展開するアック社(本社大阪市)を買収した」

――DXへの取り組みについて。

「DXには2つの道がある。『差別化(競争)』と『標準化』で、当社は標準化ビジネスの仕組み提供に軸足を置く。ITの進化とともに、BtoC(企業と消費者の取引)の領域は変化したが、BtoB(企業同士の取引)は動いておらず、そこにフォーカスを当てる。企業ごとに保持するデータやアダプタをオープン化・共通化し、業界全体の業務プロセスが最適化した世界を実現するプラットフォームのCBP(Tecnos Connected Business Platform)を提供していく」

「DXの事業イメージは、ERP×CRM×CBP。ERPは経営情報の一元化(守りのIT)、CRMは顧客接点情報の強化(攻めのIT)を示す。そこにAI、ビッグデータといったテクノロジーを組み合わせて、顧客のDXを支援していく。これが攻守両方の視点からシステムを考えるSoI(System of Insight)という概念になる。具体的には、スマートロジスティクス(商流と物流の連動による効率化)、スマートコントラクト(契約と決済の効率化)、スマートオフィス(バックオフィス作業の効率化)の3つの領域でDXを支援していく」

――「テクノスジャパン・イノベーション・ブリッジ」について。

「当社が推進するDXに賛同する企業と協力し、『つながる社会』の実現に貢献するのがコミュニティの目的。製造業をはじめとする事業会社、IT企業、金融機関などが参加している。当社独自のプラットフォーム(CBP)のAPI、IoT先となるテクノロジーと連携することで、イノベーションにつなげていく。名前に込めた思いは、日本がBtoBにおけるイノベーションを起こす起点になる、当社がDXに向けたイノベーションの架け橋(ハブ)になることだ」

「設立から25年を迎えた昨年、会社のミッション、ビジョンを再定義した。『企業・人・データをつなぎ社会の発展に貢献する』ことをミッションとして、個別システムから全体最適システムへ、価値あるデータの重要性を踏まえデータをシェアする経済圏の創造という『つながる社会の未来をリードする企業へ』というビジョンを掲げる」

――最後に、今後の展開についてお聞かせください。

「2020年3月期の業績は、特定プロジェクトの不採算化で一時的に損益が悪化。しかしながら21年3月期以降は従来の成長軌道に戻せる見込み。『ERP×CRM×CBP』のDX事業で当社は、2025年にかけて国内市場1兆円~2兆円を超えるといわれている巨大なDXマーケットに挑んでいく」