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インタビュー2025年8月1日

トップインタビュー トレードワークス テンバガーの道筋は明確 齋藤正勝代表取締役社長

トレードワークス(3997・S)はネット証券黎明(れいめい)期から金融関連企業のシステム開発を手掛け成長してきた。近年はAIやブロックチェーン技術も活用、証券業界に変革をもたらしている同社の齋藤正勝代表取締役社長に話を聞いた。齋藤氏はカブドットコム証券を立ち上げた業界のパイオニアの一人。豊富な知見と実行力が買われ、昨年7月に社長に就任した。

――社長就任から1年。振り返っていかがでしょうか。

「過去の整理と新しいことを同時並行で進めた。今年3月にはSBIHD、松井証券、岩井コスモ証券を引受先として第三者割当増資をさせてもらった。私が来るまで取引がなかったSBIを含めてお客さまからパートナーに進化、SBIは来年か再来年には最大顧客になろう。マネックスグループ、楽天、GMOとも案件を進めている。これまでのカブドットコム証券(現三菱UFJeスマート証券)中心から顧客が広がり、パイプラインが急速に増えている」

「証券界のDX(デジタルトランスフォーメーション)も追い風。ネット証券の手法を対面証券が取り入れるようになり、今年から大和証券や岡三証券との取引も始まった」

――いい流れだ。

米国株24時間取引もフォロー

「来年予定されるNYSE(ニューヨーク証券取引所)とナスダックの24時間取引の導入もビッグチャンス。多くの人がまだ気が付いていないが、これによりMUFG、トヨタなど国際優良銘柄が相次いで米国市場に重複上場、そうなると日本の主要企業は24時間取引となる。野球と同様、主力株が次々とメジャーリーグに上場し、3、4年後には主力株の主市場は最も流動性があり投資家が集まるNYSEやナスダックになっているのではないか」

「この24時間取引導入は日本の証券業界にとっても大きな出来事になる。ネット証券は速やかに対応し、対面証券も1、2年遅れて対応するだろう。米国株のリアル取引システムで圧倒的なシェアを持つ当社にとってチャンスであるのは間違いない」

――数年後の主力株の主力市場が米国とは衝撃的な近未来予想だ。

「国際優良銘柄は売買の大半が外国人。英文開示、海外IRも既に行っている。JPX、東証の危機感は相当なものだろう。分かりやすく言えば、東証が名証化、福証化することになりかねないのだから」

「新しいことが始まる、ルールが変わる、新しいテクノロジーの登場はゲームチェンジのチャンス。当社はもともと変化への感応度が高いネット証券向けシステムに強く、カブコムに提供してきたものがネット証券のデファクトになり、さらにネット証券のデファクトが証券業界のデファクトになってきている。こうしたことも含め、SBIなどが出資までしてくれたのだと思う」

――これまでBtoBビジネスだけだったが、BtoCビジネスも始めた。

「一般投資家向けにAIを使った売買助言サービスの『GPT―Trade』を始めた。現在はクリプト(仮想通貨)とFXだが、いずれ米国株式や投資信託でも助言サービスを始めたい。業界の評価は非常に高く、楽天ウォレット、GMOコインとの連携が始まった。われわれのリリースを見て、米エヌビディアや米オープンAIからも一緒にやらないかといった話が来ている」

「複数の連携先口座を持つ人はアカウントがアグリゲーションされ、最良価格で発注しやすくなる。モルスタやJPモルガン並みのエンジンとは言わないが、機関投資家が当たり前に持つ機能を個人に提供し、『機関投資家と個人投資家の格差解消』にも引き続き貢献していく。また、コンシューマーサービスの提供は認知度向上につながる。株価のバリュエーションもBtoBよりBtoC方が大体高い」

――株価について。1年前にステークホルダーに「テンバガー(株価10倍)を狙う」と話された。

「その時、ステークホルダーはみんなシーンとなった。しかし、1年たち『結構意外とあるのでは』という雰囲気になってきた。私自身はもう自信満々。だから持ち株会を通じ全力で上限いっぱいまで自社株を買っている」

「1年間で株価は1.5倍になったが、時価総額50億円程度と依然低水準。ニッチ感があるからだろう。ただテンバガー投資の鉄則だが、ニッチのナンバーワンの場合、その業界が大きく成長するかどうかで決まる。そこを投資家の皆さまに注目いただきたい」(Q)