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インタビュー2026年2月5日

トップインタビュー 大阪有機化学工業 代表取締役社長 安藤昌幸氏 AI時代に欠かせない半導体製造用材料の生産力アップに積極投資

韓国、北米などグローバル展開も加速へ

大阪有機化学工業(4187・P)はアクリル酸エステル業界のリーディングカンパニーとして知られた存在で、前期は増収増益と足元の業績も堅調だ。近年、注目されているのは半導体製造に欠かせないレジスト材料などの電子材料部門で、半導体や生成AI市場の拡大は大きな追い風になる。成長分野である先端半導体製造材料の生産体制の強化に向けて酒田工場へ100億円規模の投資も行う。そこで安藤昌幸社長に現状と今度の展開を聞いた。

――2025年11月期は増収増益となりましたが、振り返ってどんな1年でしたか。

安藤 昨年は世界の安全保障や気候変動問題、さらには関税問題や中国景気の低迷など、様々な経営環境の変化に直面しましたが、主要3事業がそれぞれ好調で増収増益を達成できました。化成品、機能化学品が堅調に売り上げを伸ばす一方で、電子材料についてはLCD(液晶ディスプレイ)が堅調に推移したことに加えて半導体材料が生成AIによる市場の拡大を背景に売上高が伸びました。通期の売上高は対前年比10.9%増の362億円となり、営業利益は同34.2%増の61億円、経常利益は同37.9%増の65億円となりました。当期純利益は補助金(31億円)の効果もあり同70.3%増の68億円となりました。

またトピックスとしては23年に投資した半導体用材料製造設備の稼働に加え、原材料のリサイクル、リユースの設備投資の結果、前期は大幅なエネルギーコストの削減が実現。化成品事業では大型製品の生産能力アップや高品質化のための設備改造などを行い生産体制が拡充し、製品群の入れ替え効果もあって営業利益が大きく向上。さらに研究開発においては環境問題に対応したバイオアクリル酸や半導体周辺材料などいくつかのテーマに取り組み実用化に向けて前進しました。

――中期経営計画画「P&D2030」の進捗状況は。

安藤 24年度から30年度に向けた中期計画を策定し、ステージ1として26年度売上目標400億円、営業利益56億円を目標にスタートしました。販売、研究開発面では海外戦略、事業領域の深化、環境社会への貢献を3本の軸として、これを遂行する上で重要となる人的経営として「人材育成と技能伝承」「効率的な組織基盤の整備」を掲げました。そして25年度の営業利益率は14.1%から17.1%に改善し、営業利益とともにステージ1の目標を達成することができました。海外展開では24年に韓国子会社を25年には北米子会社を設立、グローバル化を進めます。

――業績は好調のようですが、今後の株主還元方針は。

安藤 長期的な観点からの株主への継続的な利益還元も重要です。事業計画や内部留保のバランスを取りつつ配当性向40%をひとつの指標と考えています。具体的には25年11月期の期初配当予想を1株当たり68円から75円に増額、14年度から11年連続の増配を実現します。自己株式取得では25年1月に80万株(約3.66%)を取得しましたが、今後も市場環境を注視しながら柔軟な資本政策を実践していきます。

――経営理念、企業風土を教えて下さい。

安藤 化学産業はエネルギー問題や生成AI、デジタル労働力など様々な社会問題を解決する力があり、それゆえに新素材開発への期待も高まっています。当社では5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)をベースに「磨いて創る人と信頼、化学反応で未来を変える」をスローガンにユニークな材料の提供やサービスを通じて社会の発展に貢献していきたいと思っています。

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