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インタビュー2020年8月28日

トップインタビュー 新日本製薬(4931・東マ) 代表取締役社長 後藤孝洋氏 7~9月は「投資フェーズ」

今秋の新商品に合わせて一気に知名度向上へ

新日本製薬(4931・東マ)に注目したい。テレビCMなどでおなじみ「パーフェクトワン」ブランドの化粧品を展開する同社。足元の業績、株価の推移が順調なのはもちろんのこと、株主還元に積極的な姿勢にも好感が持てる。代表取締役社長の後藤孝洋氏に話を聞いた。

――まずは会社の紹介から。

「化粧品」「健康食品」「医薬品」を企画・販売しており、売上高の約9割を化粧品が占める。主力商品は「パーフェクトワン オールインワン美容液ジェル」シリーズ。これひとつで化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック、化粧下地の6役をこなす「オールインワン」スキンケア商品だ。

オールインワンスキンケア市場は1000億円ほど。2019年までの5年間は年平均8.5%の伸びを示したが、当社のパーフェクトワンは13%増。シェア約26%で4年連続トップと市場の牽引役になっている。

――競合との違い、強みは何か?

ひとつは製造機能を持たないファブレス体制であること。商品や原料の研究開発については当社研究部門と大学や専門機関が連携するオープンイノベーションという考え方で進めている。設備投資の代わりに費用を広告宣伝に投じて垂直的な成長を可能にしただけでなく、ブレーンが社内に限定されず思いがけないアイディアが幅広く発掘できる。

先ごろコラーゲン原料の製造方法について特許を取得。一般的な原料と比べてコラーゲン産生促進作用を約5倍に高めることに成功した。また、「保湿」「ホワイトニング」という従来の機能に「シワ改善」効果を持たせたオールインワンジェルの新商品を開発しており、秋に発売を予定している。

――シワ改善、既に商品が乱立している。

数年前に化粧品大手がリリースした美容液が爆発的ヒットとなった。ただ、こちらがシワの上に少量を乗せて使用するのに対して、パーフェクトワンの新商品ジェルは毎日、顔全体にたっぷり塗って使える仕様でありながらも、化粧品大手の大ヒット美容液と比べて価格は抑えめに設定する。

画期的な新商品の投入に加えて、当社では原料の改良など既存商品についてもリニューアルを絶えず行っており、これがリピーターとの強い信頼関係、高い継続率につながっている。

――継続率について、詳しく。

売上高の7割が年間5、6回ご購入されている定期顧客によるもので、この高い継続率を支えているのが、強みの2つ目、データベースマーケティングだ。商品を各種メディアで露出、注文などのレスポンスをコールセンターやウェブサイトで受けるのだが、このような顧客対応は月間20万人にも及ぶ。購入内容・頻度など定量データのみならず、「生の声」といった定性データも当社が直接収集・蓄積することで、商品やサービスの開発・改良のヒントを得ている。ファブレス体制ならではのスピード感でカタチにして、反応をダイレクトに収集――と独自のビジネスサイクルが確立されている。

――業績について。コロナ禍でも順調だ。

20年9月期の第3四半期決算は、売上高が前年同期比0.8%増の255億7,300万円だった。通期計画350億円(前期比4.3%増)に対して進捗率73.1%とスローペースに見えるが、第4四半期(4Q)を投資フェーズとしていることもあり、通期計画は変更しない。緊急事態宣言によって在宅率が高まり、これは既存顧客の購入を後押ししたものの、新規顧客の獲得については積極投資のタイミングではないと判断。広告宣伝費を一時的に抑制したが、その分は4Qに投じる予定。

ちなみに新型コロナウイルスの影響は軽微だった。直営店舗・卸売販売は休業要請を受けて前年同期比1.1%減だったが、主力の通信販売は0.7%増。中でも近年強化しているEC(電子商取引)は22.7%増と大きく伸びた。

――昨年6月IPO(新規上場)、わずか2カ月後には株主優待を導入するなど還元策に熱心だ。

今年5月に株主優待の内容を拡充した。主力商品の1つである「パーフェクトワン モイスチャージェル」を基本とし、株数や保有期間によってはこれに青汁やシャンプーあるいは冬季限定で販売するナイトクリーム、5,000円分の買い物券などをプラスすることにした。「ファン株主」、弊社の商品や理念に共感いただき、株主として会社の成長にも期待していただける方を増やしていきたい。

機関投資家向けには配当性向を20%から30%に引き上げた。しかしこれらは通過点。株主優待も配当も、株主の皆さまへの還元策はより良いものに今後も積極的に切り替えていく。